研究課題
【背景と目的】人口の高齢化、手術適応の拡大、腹腔鏡導入による手術手技の多様性など外科手術を取り巻く環境は大きく変化しています。このような中、安全で事故のない外科手術を供給するために効率的な手術手技教育法の確立が求められています。本研究では、外科医が手術技術を研鑽する上で、安全性に重点をおき合目的に手術手技を習得できる教育システムと客観的評価システムを確立することを目的としました。【方法】本研究は術前3D 画像と切除標本画像を用いて、術前計画と実際に施行された手術手技との定量的一致率を算定し、客観的な教育評価システムを検討しました。特に系統的肝切除術では肝区域の境界を走行する肝静脈や支配門脈の断端が過不足なく露出されていることが肝要であり、これを追究する一方で手術時間や出血量が妥当な範囲に収まってることが求められます。それぞれのパラメータとして手術時間、出血量、在院日数、術後合併症を評価項目として測定しました。【結果】2013-2015の3年間に施行された肝切除は646例で、うち207例が系統的肝切除かつ高難度手術に該当していました。これらの出血量は中央値377cc(5-3500)、原発性肝癌は320cc、肝転移は285cc、胆道癌は547ccでありました。術前に構築された3D画像と切除標本との比較で78%の症例で計画通り妥当な切除が施行されておりました。一方、22%では術中の腹水出現、肝生検による肝線維化程度の悪化、肝離断面からの出血過多などの理由で術式変更が施行されており、肝離断面の肝静脈露出は不十分でありました。術中出血が500ccおよび1000ccを境界として術式の変更が検討されていました。【結果】術前3D画像と切除標本を用いて手術手技を評価できる可能性が示唆されました。出血量に基づく危険回避ポイントが設定されたことにより、肝切除技術や出血抑制意識は向上しました。
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