研究課題/領域番号 |
25350859
|
研究機関 | 帝京科学大学 |
研究代表者 |
小島 尚 帝京科学大学, 医療科学部, 教授 (50205382)
|
研究分担者 |
井上 みち子 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (40101208)
坂口 武洋 川村学園女子大学, 人間文化学部, 教授 (80050657)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 薬物乱用防止啓発活動 / 危険ドラッグ / 規制薬物 / 健康食品 |
研究実績の概要 |
1.マスコミ等への情報提供と原稿依頼:危険ドラッグが原因と考えられる交通事故が多発し、マスコミや教育関連から毒性や生命影響等の情報を要請された。また、危険ドラッグに対する社会的対策への見解を求められ、原稿依頼を受け入れることも多かった。その中では低年齢からの啓発教育の重要性と自己判断能力の向上教育を説いた。新聞社記事3件、出版社1件等。 2.薬物乱用防止における低年齢からの啓発教育の重要性の周知:新規薬物の危険性を理解するとともに、未知の乱用薬物にであった場合に如何に対応するべきかを教育する、健康教育の重要性を周知した。特に、学校での啓発教育の重要性から、小中学校の保健体育や養護教員への情報提供を行った。教員や学校薬剤師への情報提供は指導者が担当する学校や施設で啓発教育を実施することから有用である。また、可能な範囲で学校において直接、児童生徒に薬物乱用防止教室を実施し、大学でも防止教育を4月に実施するようにした。依頼講演中学1回、薬剤師会との打合せ2回、大学講演2学科7回等。 3.薬剤師会及び開業薬剤師教育における薬物乱用防止啓発活動:薬物乱用防止教育は指導者の不足が原因で全校実施できないことから、薬剤師に防止教育指導者へのスキルアップを目指した活動を行った。また、危険ドラッグの乱用は死亡事故を含む重篤な社会問題を発生しているが、医薬品の乱用や健康食品に含まれる医薬品成分による薬物乱用も件数や親近性では身近な乱用となっている。そのため、これらの薬物乱用を含めて啓発活動を実施している。薬剤師研修会3回(東京2回、大阪1回)。 以上のように、薬物乱用防止啓発活動を実施するとともに、薬剤師をはじめとする薬物乱用防止指導者を養成するための活動や研修を今後とも実施する。また、薬物情報や提供したい情報をHPにおいても提供する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
薬物乱用防止教育の重要性は近年の危険ドラッグ乱用による死亡事件事故の多発から広く理解されるようになっている。しかし、乱用薬物を社会から完全に排除することは不可能なため啓発教育が重要となる。従来の薬物教育は覚せい剤等既存物質の情報は提供されるが、危険ドラッグ等の新規薬物情報が乏しく、今後出現する新規薬物に対応する方策などは充分に教育されていない。新らたに出現する乱用薬物を自律的に回避できる健康教育を確立することを最終目標としている。中でも、学校薬剤師の薬物乱用へのスキルアップを重点項目とした。 1.脱法ハーブ等の危険ドラッグに関する情報提供:新規薬物の情報を整理し、学校薬剤師等へ講演会やセミナーを通して提供できた。危険ドラッグの変化が速いことから、セミナーや講演会では既存薬物との比較を中心に示すことは薬物危害性の理解に有用であった。情報提供の考え方を理解されるように各種の積極的に依頼を受けた。2.薬物乱用防止活動における教育方法のスキルアップ:薬物乱用防止啓発教育では児童生徒への指導が重要となることから、分かりやすい教育が求められる。学校薬剤師では分かりやすいことや関心を生じられない等が課題として指摘されているため、指導方法の教授をマニュアルで示すだけでは不足していた。そのため、元高等学校校長による保健体育を基礎とする指導方法を実施した。3.薬物乱用防止啓発活動の実施:薬物乱用防止指導者等への講演会やセミナー等を開催し、また、児童生徒に直接実施することを行ってきた。今年度はHPを完成でき、啓発活動を一層、充実する基盤が確立できた。危険ドラッグの乱用は薬物乱用防止啓発活動の社会的な理解を得られたが、防止教育の実効性の向上を如何に評価するか等の課題もあった。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究の最終目標は全校で薬物乱用防止教室を実施することであり、学校薬剤師や保健、養護教員等の指導者スキルアップに活用できるよう以下の項目について検討を行い、冊子やホームページで公開する。 1.薬物乱用防止啓発教材の作成:本年度は特に、薬物の危害性を感覚的にも理解しやすくするための実験と教材資料作作成を重点項目とする。代表的な危険ドラッグやリード化合物の細胞毒性実験を行い、実験成果を教材資料に活用する。啓発現場に既存する多くの教材や資料では科学的な危険性根拠やその具体的な表現として映像を組み込んだ教材が不足することから教材の作成を行う。特に、昨年度までにセミナー等で不足するスキルと要望を直接的に収集できたことから、既存法等を補完するポイントをまとめた教授法と併せて整理公表する。2.危険ドラッグに加え、医薬品や健康食品等の補充:脱法ハーブ等の新規薬物が死亡事故を含む事件や事故を発生して社会問題化している。このような新規薬物に遭遇した場合、子供自身の健康を守る視点から自ら判断で回避する能力を身に付けることが必要になる。そのために、項目1に示す毒性データ等を組み込んだ教材資料を作成している。また、その危害性を適切に説明できるように教授法に組み込む。更に、指摘された事項には医薬品や健康食品等の乱用も少なく、これらの実態情報や安全性に関する情報を併せたものとする。そのため、我々が蓄積してきた健康食品等の健康被害の情報や医薬品、鎮痛薬などの乱用実態等も教材資料に組み込む予定にある。3.薬物乱用防止啓発教材資料の公開:今年度も継続的にシンポジウムやセミナーを開催して直接、啓発教育の充実を目指す。それに加え、これまでの蓄積された情報だけではなく、教授法等を薬剤師や教員が実施するための教材資料を作成して提供する。 これにより、薬物乱用防止防止教室の全校実施に一歩でも近づくように努める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度は調査を中心とし、資料や教材の作成を中心に行った。実験項目を設備と実験環境の都合から次年度に変更したため。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度に細胞実験を行うように変更した。実験室及び機器の準備が本年度内に整えることができなかったため、次年度から実施するように変更した。
|
備考 |
危険ドラッグやいわゆる健康食品などに含まれる乱用薬物の情報と啓発活動の状況などを紹介している。また、薬物啓発活動の講師依頼などを準備してある。(大学HPからリンクが張ってあります)。
|