研究実績の概要 |
高齢者の心の健康づくりやうつ予防を目的に、うつ傾向者の把握と予防プログラムの検証、サポーター養成プログラムと地域システム構築、及びそれらの評価をした。亀岡市の生活圏域ニーズ調査では有効回答者 13,294 人(72.9%)のうち、33.1%(4,397 人)が老年期うつ尺度Geriatric Depression Scale で 5項目中2項目以上該当するうつリスク保有者であった。うつリスク保有者群では、非保有者群に比べて、身体機能が低下していた。 そこで、我々は住民が相互に支えあうための地域資源である“人材”をうまく活用し、介護予防事業が地域の活性化に結びつくことを目指し、10人の研究者と市民サポーターでNPO法人元気アップAGEプロジェクト設立した。行政と協働し、3年間で介護予防サポーター講座は8期生まで221名の養成をした。養成後も月1回のスキルアップ講座で、リーダーの活動支援につなげた。運動プログラムは12曲の音楽体操とスロー筋トレ、口腔体操で、DVDとCDを制作した。音楽体操はプログラムに合わせて高齢者が好む楽曲を生演奏し、著作権を申請した。これらのエビデンスを検証するとともに、音楽体操にはついてはポラールで心拍数を測定し、有酸素効果についても検証した。また、パナソニックのデジタルミラーによるTMTテストで認知機能の向上にも効果があることが示唆された。運動習慣のない高齢者が気軽に参加できる元気アップ体操教室を10町で展開し、市民サポーターが運営する仕組みを構築した。運動プログラムはうつ予防に効果があることが示唆された。本研究結果は、地域高齢者の精神的健康支援も含めた介護予防プログラムとして、波及効果も大きいと考える。 今後は全市展開し市民サポーターが専門家の指導を受けて、運動プログラムを継続的に安全に提供できるようにし、さらに健康寿命の延伸に努めたい。
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