研究課題/領域番号 |
25350870
|
研究機関 | 福山大学 |
研究代表者 |
日下部 典子 福山大学, 人間文化学部, 教授 (60461290)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | ストレスマネジメント / うつ病 / ソーシャルサポート |
研究実績の概要 |
本年度は福山市在住の妊婦を対象としてストレス・マネジメント・プログラムの内容を決めることを目的に,質問紙調査を実施することが目的であった。福山市に在住の妊婦49名を対象に,質問紙調査を実施した。質問紙は,フェイスシート,育児ストレスについて尋ねる質問,ストレス・コーピング,被援助志向性,現在および出産後のソーシャルサポート,また現在のうつ状態を調べる質問項目から構成された。フェイスシートの結果から多くの妊婦がインターネットから妊娠・出産に関する情報を収集していること,また出産後に子育て支援施設,保育所・幼稚園の園庭開放等の利用を希望していることが明らかとなった。また,育児ストレスや産後うつ病について理解しているのは4割であった。EPDSの結果から,約2割にうつ傾向が認められたことから,現在および産後のうつ低減あるいは予防を目的とした介入の必要性が示された。 うつ傾向に影響を及ぼす要因を確認するため,うつ傾向と本人と夫の年齢,妊娠週数および,コーピング尺度,セルフ・エフィカシー尺度,被援助志向性尺度との相関分析を実施した結果,コーピング尺度の「問題解決・積極的対処」,「夫へのサポート希求」が低いほど,また問題回避・諦め」が高いほどうつ傾向が高くなることが明らかとなった。また,セルフ・エフィカシー尺度の得点が低いほど筒傾向が高かった。さらにうつ得点を従属変数として重回帰分析を行った結果,コーピングとセルフ・エフィカシーおよび夫の年齢が影響していることが明らかとなった。夫の年齢に関しては年齢が低いほどうつ傾向が高いことが示された。以上の結果から,平成27年度に実施予定である福山市の妊婦を対象としたストレス・マネジメント・プログラムには,コーピングとセルフ・エフィカシーについての項目を入れる必要性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度に福山市に在住の妊婦を対象に質問紙調査を実施した。当初の予定では100名前後の対象者に実施する予定であったが,回答者を募集することが難しかったため,現時点では49名からの回収にとどまっている。数か所の産婦人科医院に質問紙調査の協力を依頼したが,協力を得ることができず,当初の目標数に達していない。
|
今後の研究の推進方策 |
質問紙調査を約100名前後に対して実施し,その結果に基づいてストレスマネジメントプログラムを作成する予定であったが,現在49名からの回答が得られている。現時点でこれ以上の質問紙調査を実施することは難しいため,平成26年度に実施した質問紙調査結果に基づき,ストレスマネジメントプログラムを作成し,妊婦を対象に実施し,その効果を検証する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
質問紙調査の実施および結果の入力・解析にアルバイトを依頼し,人件費が生じる予定であったが,調査対象者が少なかったため,アルバイトを依頼しなかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
今年度のプログラム実施補助,および調査結果の解析業務におけるアルバイトの人件費として使用する予定である。
|