本研究の目的は妊婦を対象としてソーシャル・サポート利用の有効性を含んだストレス・マネジメント・プログラムの開発と,その実施および効果の検証であった。プログラム開発のための質問紙調査を実施するにあたり,調査対象者を一定数集めることが難しく,昨年度に妊婦のストレスおよびうつ傾向に関わる要因が明らかにできた。 本年度はその結果を基に,ストレス・マネジメント・プログラムの実施に用いるためのマニュアルの開発に着手した。質問紙調査の解析結果から,うつ傾向の高い妊婦の対処行動の特徴として,ストレッサーに対して問題回避コーピングを取ることが多く,夫あるいは夫以外の人にサポートを求めることが少ないことが明らかとなった。また,サポート希求行動に対して懸念を抱いていること,サポート希求行動ができないときに気晴らしをしていることが分かった。そこで,マニュアルは,(1)妊娠中のメンタルヘルスが母子双方に大切であることに加え,産後のメンタルヘルスにも大きく影響することから,ストレスプロセスとストレス・マネジメントの重要性,(2)ストレッサーに対して回避コーピングではないコーピングを取るための工夫,(3)ソーシャル・サポートの重要性とサポート希求行動を取りやすくするための認知の修正,(4)リラクセーションを取り上げて作成された。 福山市の妊婦を対象とした「パパママ教室」で協力者を募り,マニュアルを利用したプログラム実施に着手した。
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