研究課題/領域番号 |
25350875
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
高山 範理 独立行政法人森林総合研究所, 森林管理研究領域, 主任研究員 (70353753)
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研究分担者 |
森川 岳 独立行政法人森林総合研究所, 構造利用研究領域, 主任研究員 (10360398)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 森林環境要素 / 都市環境 / 癒し / リラックス / 快適性 |
研究実績の概要 |
本課題では、自然地の森林環境と、森林環境の要素を取り入れてデザインされた公共環境および室内環境(都市型森林浴環境)と自然地の森林環境の刺激を用いて、滞在者がそれぞれの環境から受ける生理的・心理的なストレス低減効果を比較し、各環境の生理的・心理的影響の特性を把握する。そしてさらに、各環境の生理的・心理的ストレス低減効果の特徴の差異を踏まえ、非日常的環境である自然地の森林環境の優れた点を、日常的環境である公共および室内環境に取り入れ、さらにストレス低減効果の高い環境にするための要素を絞り込み、より快適な公共・室内環境の創出を実現するための提案を行うことが目的である。本課題の研究目的が達成されれば、森林の環境要素の何が癒し効果をもたらしているのかが明らかになるため、実際の森林管理の現場に還元できる知見も多く得られることになる。 平成26年度は、約280名の被験者に対して、大画面スクリーン、外部スピーカー等を用いた室内実験を行った。具体的には、各動画、音声(共通)等を提示し、刺激を与える前後で、心理指標として新たに開発したROS-J(日本語版回復感指標)を実施した。その結果、短時間のオフサイト(室内)森林浴であっても、心理的な回復感があることが確認された。描画実験やデプスインタビュー調査から、木漏れ日や水の流れる音などの抽象化された森林環境要素が心理的な癒しの効果をもたらしていることが推察された。さらに、宿泊型の森林浴実験をした結果から、五感ごとに森林環境のどのような要素が心理的回復効果をもたらしたのかについての把握がなされ、樹木や木漏れ日といった視覚的要素だけでなく、森林の匂いや葉擦れの音、鳥の鳴く声などの森林環境要素が良く認識されていることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予備実験等での成果が出ており、本実験が平成27年度になった以外についてはおおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
都市部に挿入できるとして森林の環境要素に対して、その効果について調べるためにより詳細な実験を行う。予定した被験者に対して、モニタ画面、外部スピーカーを用いて、環境要素の組み合わせの異なる刺激を作成し、各動画、音声(共通)等のを5分間ずつ提示し、①刺激を与えている間および実験前後での生理指標の変化を調べる。②心理指標として、ROS等を用いて刺激を与える前後での被験者の気分の変化について調べる。③実験後デプスインタビュー調査等を用いて各刺激下における環境要素の違いが生み出す回復効果の相違について把握する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予備実験を行った結果、本実験の実施が平成27年度に延期になったため。
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次年度使用額の使用計画 |
主に、平成27年度7月~10月にかけて被験者を用いた実験(本実験)を行うために使用を計画している。具体的には、実験に参加した被験者への謝金、実験に必要な調査物品の追加購入、データの分析のための研究補助者を雇用する。
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