【目的】昨年度、腰部・背部の愁訴を軽減するストレッチ運動プログラムを考案し、腰背部にハリやコリを有する女性勤労者を対象に本プログラムの一過性実施効果について検討した。そこで今年度は、本プログラムの継続的な実施が介護職従事者の心身の健康増進に及ぼす影響を検討するために、無作為化比較試験による介入研究を実施した。 【方法】都内に位置する二つの老人ホームをフィールドとし、各施設に勤務する介護職従事者に参加の募集を行った。募集に際しては、医師より運動禁忌の診断を受けていない、睡眠薬および向精神薬による治療を行っていないこと、を条件とした。その結果、40名が研究対象となった。研究対象者は性別で層化した後、無作為に介入群と対照群に割り付けた。運動実践のタイミングは就寝の直前とした。ベースライン時点でストレス反応、メンタルヘルス、睡眠状況、腰痛の状況、体力、体格、属性を調査測定した。介入群にはストレッチを習得させるために健康運動指導士による運動指導を実施した。介入期間は4週間とし、対照群には通常の生活様式にて過ごすよう指示した。介入群には1週間のストレッチ実施状況の報告を求めた。介入終了後には、ストレス反応、メンタルヘルス、睡眠状況、腰痛の状況について調査測定を行った。 【結果】対象者の職種は、介護職員が28名、生活相談員が4名、介護支援専門員が2名、看護師が6名であった。介入群の自宅での運動実践状況について、実施日数の平均(±標準偏差)は23.7(±3.4)日、運動プログラム実施率は84.5%であった。 【考察】本研究の介入群における介入期間のプログラム遂行状況は5.9日/週と高い実施率が得られた。このことから、本プログラムは施設介護従事者の日常的な実践を可能とする内容であるものと思われる。今後は各指標について男女別に解析を実施し、本プログラムの有効性について検討する。
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