研究課題/領域番号 |
25350879
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
坂本 裕昭 筑波大学, 医学医療系, 講師 (30611115)
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研究分担者 |
佐藤 藤夫 筑波大学, 医学医療系, 講師 (20375497)
徳永 千穂 筑波大学, 医学医療系, 講師 (30451701)
兵藤 一行 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 准教授 (60201729)
松下 昌之助 筑波技術大学, 保健科学部, 教授 (70359579)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 放射光微小血管造影法 / 冠動脈造影 / in vivoラット / 糖尿病 |
研究概要 |
生活習慣病である糖尿病を合併した虚血性心疾患患者は増加傾向にあるが、糖尿病患者と非糖尿病患者の冠動脈の性質の違いは明らかになっていないことが多い。本研究の目的は糖尿病患者の冠動脈の特徴を解明することである。その前提として、放射光由来X線源とNHK放送技術研究所の協力によるHigh-Gain Avalanche Rushing Amorphous Photoconductor (HARP) 受像管を組み合わせた高感度放射光微小血管撮影法を用いて、in vivoラットにおける微小冠動脈造影法を確立することが本年度の最大の目的であった。 臨床で用いられている従来のX線源による血管造影法で描出可能な血管径は、呼吸や心拍動とともに動く冠動脈では約300μm、下肢末梢動脈のように静止している動脈でも約200μmが限界である。我々は過去にラット摘出心における放射光微小血管造影法を用いた冠動脈造影で径50μmまで描出可能であることを報告したが、in vivoラットの心拍数は300回/分以上であるため、心拍動により画像がぶれてしまい微小血管を描出することは不可能であった。それを克服するため様々な技術的工夫を試み、薬剤投与により一時的な徐脈を得ることで空間分解能と濃度分解能の非常に高い画像を得ることが可能となった。現在までに直径50μm前後のin vivoラット微小冠動脈を描出する方法を確立した。 現在、上記方法を用いてラットの糖尿病モデルを作成し非糖尿病ラットの冠動脈との比較研究を開始している。当初、外的刺激として寒冷刺激を加える事で交感神経緊張状態をつくり、それが微小冠動脈に及ぼす変化を解析する予定であったが、その前段階として、強力な血管収縮作用を有するエンドセリンの前駆体(ビッグエンドセリン-1)を投与することによる微小冠動脈の直接的な変化を解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度最大の課題であった放射光微小血管造影法を用いたin vivoラットの微小冠動脈造影法を確立することができた。この方法が更に発展すれば虚血性心疾患や心血管再生医療における微小血管の評価に応用可能であり、この手法を確立できた意義は非常に大きい。しかし当初予定になかったエンドセリンによる微小血管の変化の解析を追加で行っているため、進捗状況はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
現在進行しているエンドセリン投与実験では、強力な血管収縮作用にて投与前後で明らかな冠動脈変化が観察されると予想している。放射光微小冠動脈造影法にてこの変化を明瞭に判別できることが次のステップへの前提である。判別可能であれば、より微小な変化が予想される外的ストレスによる微小冠動脈変化の実験を開始する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究分担者へ送金した分担金において6,215円の残額が生じた。 次年度使用予定の経費の多くは消耗品費用、実験動物の購入費用および飼育管理費用に充てられる。
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