研究概要 |
Adaptor protein containing PH domain, PTB domain, and leucine zipper motif 1 (APPL1)が骨格筋培養細胞での伸展刺激に関与することが明らかとなったためAPPL1依存性シグナル伝達機構の解明を行った。まず平成25年実験計画A-2に示したとおり、伸展刺激によるAPPL1の細胞内局在を観察したところ伸展刺激により細胞内から細胞膜近傍に変化することが明らかとなった。計画A-4に示した機能解析目的にShRNAを用いてAPPL1をノックダウンさせたところ、伸展刺激による糖取り込みは著明に低下した。以上からAPPL1は伸展刺激により制御され、糖代謝に促進的に作用することが確認された。そこで計画A-3に予定したAPPL1過剰発現細胞において糖代謝に関与する蛋白の発現を確認したところ、Glut4、AMPK、Akt、GSK-3の何れも発現量に変化は認めなかった。しかし、予想と反して伸展刺激によるAktのリン酸化は低下し、AMPK、PKC zetaのリン酸化が増強されることを見いだした。そこで計画A-1に予定していたリン酸化部位の同定は延期し、計画A-5の通り阻害剤を用いてシグナル伝達機構を検討したところ、伸展刺激によるAPPL1糖代謝促進作用はAMPK依存性ではなくPKC zeta依存性であることを発見した。伸展刺激における糖代謝機構にはカルシウムイオンが重要であることが報告されているが、APPL1シグナルはカルシウムイオン非依存性(PKC zetaはカルシウムイオン非依存性であるため)であることが示唆され、骨格筋での新規糖代謝シグナル伝達機構発見の糸口である可能性があると考えている。
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