研究実績の概要 |
培養骨格筋細胞を用いてAdaptor protein containing PH domain, PTB domain, and leucine zipper motif 1 (APPL1)の伸展刺激による糖代謝機構の解析を行っている。昨年度にAPPL1を介した糖代謝促進作用はキナーゼであるPKC zeta依存性のシグナル伝達系であることが判明した。そこでPKC zeta依存性シグナルの解析のため、APPL1を過剰発現させた細胞でのリン酸化PKC zetaに結合する蛋白解析を免疫沈降法、質量分析にて行った。同定された複数の蛋白の解析を行ったところ、興味深いことに伸展刺激のない基底状態ではフォスファターゼであるPP2Aが結合し、伸展刺激によりその結合が乖離すること。さらに伸展刺激により、骨格筋での機能が不明である非筋ミオシンIIaに結合することが明らかとなった。非筋ミオシンIIaの機能を特異的に阻害するインヒビターを用いると、PKC zetaのリン酸化、細胞内局在が変化すること、さらに伸展刺激による糖取り込みが基底状態のレベルまで抑制されることを見出した。以上のことからAPPL1を強発現することによって増強される伸展刺激による糖取り込み機構には、PKC zetaのリン酸化、細胞内局在が重要であり、それらはPP2A、myosin IIaによって制御されていることが明らかとなった。従来知られていなかった骨格筋での新たな糖取り込み機構が存在することが明らかとなり、論文発表を準備している。
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