研究実績の概要 |
骨格筋培養細胞(C2C12)における伸展刺激による糖取り込み機構の解明を行った。骨格筋でのインスリン、アディポネクチン刺激による糖取り込み関与するAPPL1(Adaptor protein containing PH domain, and leucine zipper motif 1)に着目した。APPL1を過剰発現させたC2C12細胞を用いて伸展刺激を加えると、糖の取り込みが有意に増加していた。そのシグナル伝達機構を検討すると、PKC zeta-nonmuscle myosin IIa(NMIIA)が重要であることが判明した(前年度までに導き出した結果)。最終年度には、これまで成熟骨格筋細胞での機能が不明であったNMIIAの関与を確定するためNMIIAの機能を阻害する化合物質(Blebistatin)を用いたところ、PKC zetaの局在、リン酸化が抑制され、伸展刺激による糖取り込みを基底状態にまで抑制することを見出した。さらに、その結果を確認するためshRNAを用いてAPPL1をノックダウンさせたところ、伸展刺激による糖取り込みは有意に低下した。つまり、骨格筋での伸展刺激による糖取り込み機構において、APPL1は促進的に作用することが確認され、その下流のシグナル伝達(主にPKC zeta-NMIIA)を介して作用することが明らかとなった。以上を論文にし、現在投稿中である。 さらに、本研究を元に伸展刺激によって骨格筋細胞から分泌される糖代謝改善物質の存在が示唆されたため、現在新たな研究を始めたところである。
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