研究概要 |
平成25年度は、まず地域高齢者の抑うつの特徴を把握した。愛知老年学的評価研究(Aichi Gerontological Evaluation Study: AGES、現在は、日本老年学的評価研究Japan Gerontological Evaluation Study: JAGES日本老年学的評価研究に発展)の大規模疫学データ(2006年調査:男性13,860名、女性14,966名;65歳以上)を横断的に解析した。Geriatric Depression Scale(GDS)で評価した高齢者の抑うつ状態は、年齢・性別・婚姻状態(既婚、死別とその後、離婚、未婚)によって異なるため、メタボリックシンドロームとの関連性を解析する際には、層化が必要であることが判明した。既婚者では、GDS得点は高齢になるほど高くなる傾向があり(トレンド検定)、男性の方がGDS得点が女性よりも高かったが(t検定)、教育歴と等価収入のいずれで調整するとその有意差は消失した(重回帰分析)。配偶者の介護と自身の疾病は、GDS得点を高める因子となるが、男女の有意差には影響していなかった(重回帰分析)。一般に抑うつの防御因子と考えられる社会的サポートに関しては、情緒的サポート・手段的サポートをそれぞれ受けるか与えるかに分け、4面から抑うつとの関連を評価した。いずれのサポートも、既婚者では、夫が妻から受ける/に与えるサポートの方が高く、子どもおよび外部から受ける/に与えるサポートはいずれも妻の方が高かった(ロジスティック回帰分析)。以上の結果を踏まえ、一部の市町村民の健康診断データのメタボリックシンドロームに関連する指標を、社会・経済的因子で調整した上で解析できるように調整中である。
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