研究課題/領域番号 |
25350884
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
橋本 繁成 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (90359729)
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研究分担者 |
谷口 俊一郎 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (60117166)
中島 弘毅 松本大学, 人間健康学部, 教授 (80258954)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | インターバル速歩 / 健康処方 / エピジェネティックス / 遺伝子のメチル化 / 抗炎症 |
研究実績の概要 |
インターバル速歩による健康改善は巨視的に認められる所であるが、エピジェネティック効果として被験者の血液における遺伝子レベルでのメチル化状態変化をゲノムワイドで観察した。1コホートで炎症のマスター遺伝子の一つであるNFkB2遺伝子の制御領域においてメチル化の増強を観察したが、別コホートでしかも別のメチル化測定法,パイロシークエンス法、によって再現性を確かめることができた。メチル化変化の程度は被験者のエネルギー消費量と相関した。また、被験者数が少数であったことからか巨視的健康指数である血圧などでは健康増進についての有為差が得られなかったが、それにも拘らずメチル化変化をNFkB2遺伝子の数カ所の制御領域で有意に認めることができた。他にも炎症抑制的に働くと示唆される遺伝子のメチル化減少、炎症促進的に働くと示唆される遺伝子のメチル化増加を認め、インターバル速歩はエピジェネティクスの視点からして抗炎症的な効果をもたらすことがわかった。また、巨視的には有意差が見られない段階でも、健康処方始め種々処方介入の妥当性を判断するために感度の高い簡便な検査法として血液を用いるメチル化測定は有用性があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
25年度に引き続き研究を実施した。 1)DNAのメチル化変化と臨床データとの相関解析:運動処方施行群、コントロール群から統計的無作為抽出により選出し、運動前後におけるメチル化変化をメチル化アレイを用いて網羅的に解析した。メチル化変化した遺伝子を機能、発現箇所、疾患との関与など多目的にアノテーションをしたデータベースを構築した。相関解析の結果、消費エネルギーと相関する遺伝子について、その遺伝子のプロモーター領域、重要なドメイン内のメチル化レベルなどを詳しく検討した。 2)運動処方応答候補遺伝子の同定:1)の実験結果において候補に挙がった遺伝子のうち、プロモーター領域内で有意にメチル化変化したものを選出した。年齢。性別、臨床データに有意差がない、被験者の中から適切な運動量を施行した運動群と非運動群を可能な限り収集し、これらゲノムDNAサンプルをパイロシークエンスを用いてメチル化測定を行った。この結果が網羅的解析によって得られた結果と照らし合わせ、統計的手法を用いて運動処方応答候補遺伝子NFkB2として同定した。 3)運動処方の改良と遺伝子メチル化変化:この解析について現在サンプルを収集及び解析を進めている。
1),2)については、成果を論文にまとめ、International Journal of Sports Medicineに受理された。
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今後の研究の推進方策 |
現在インターバル速歩に加え、食の介入による健康改善実験を行なっているが、それについてのメチル化変動は依然解析中であり、これについての成果をまとめて行く。
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次年度使用額が生じた理由 |
出来るだけ安価に消耗品購入の工夫をして研究費を節約した結果次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究計画として、食の介入についてのエピジェネティックス側面からのアプローチがまだ残っているのでその為に使用予定である。
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