研究課題/領域番号 |
25350885
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
重松 良祐 三重大学, 教育学部, 准教授 (60323284)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 高齢者 / 認知機能 / 運動 / アウトリーチ / 判別 |
研究概要 |
高齢者の認知機能低下を早期に発見することは、認知症発症の抑制に大きく貢献する。早期発見の手段としては個別面接法が主に用いられてきたが、時間がかかり、また負担が大きいために奏功していない。本研究では、高齢者に受け入れられやすい「運動」に「認知作業」を付加したパフォーマンステスト「スクエアステップ」を活用し、認知機能低下者を短時間で発見できる課題を設定することを目的としている。本研究では3つの課題を設定しており、今年度は、軽度認知障がい(MCI)者の検出課題(ステップ・パターン)を設定することとした(課題A)。また、スクエアステップが認知機能を向上させるかについても検討した(課題B)。 課題A:三重県津市A町の高齢者170名を対象にMontreal Cognitive Assessment(MoCA)(Nasreddineら, 2005)の日本語版(鈴木・藤原, 2010)を実施した。全体の25%に相当する43名がMCIとみなされた。併せて測定したスクエアステップのパフォーマンス結果から、パターン4を成就できないと非MCIとみなせないことが明らかとなった。 課題B:三重県津市B町の高齢者を対象にスクエアステップを定期的に実施してもらった。参加者のうち、26名には毎週1回、32名には隔週1回の頻度で実施した。その結果、時計描写や言語流ちょう性、類似といった認知機能には両群で有意な変化が見られなかった。一方、手がかり再生(記憶)は両群ともに有意に向上した。文字位置照合課題(二重課題)では、毎週群で有意に向上した。これらのことから、スクエアステップは認知機能に好ましい効果をもたらすと示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象者数は予定通り確保できた。測定を無事に終えることができ、解析もできた。
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今後の研究の推進方策 |
計画していた課題2と3を残りの年度に実施する。すなわち、課題2では、スクエアステップ・パターンの交差妥当性を検討した後に、MCIを検出する規準を設定する。課題3では個別測定時だけでなく、集団で測定しても検出能が同程度であるかについて検討する。また集団測定マニュアルを策定する(アウトリーチ)。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定していた対象者数を計画より早い段階で確保でき、人件費の支出を抑えることができたため。 26年度の使用予定額のうち、人件費・謝金に充当する予定である。
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