研究課題/領域番号 |
25350885
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
重松 良祐 三重大学, 教育学部, 准教授 (60323284)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 高齢者 / 認知機能 / 運動 / アウトリーチ / 判別 |
研究実績の概要 |
高齢者の認知機能低下を早期に検出することは、高齢者自身にライフスタイルの改善に気づいてもらえるようになるため、豊かなライフに繋がる。早期検出のために、本研究では、申請者らが開発した運動種目「スクエアステップ」を用いた。スクエアステップは、25センチ四方のマスが横4個×奥行き10個、描かれているマットを使う。そして、あるパターンに従ってそのマスの中に足を置いていく(ステップしていく)。パターンは約200種類あり、記憶しやすいパターンや記憶しづらいパターンがある。認知機能の低下した状態(以下、MCI)であることを、本研究ではモントリオール式認知機能評価(以下、MoCA)において25点以下であると定義した。課題1(平成25年度)では、三重県津市A町の高齢者170名を対象にスクエアステップ(パターン1~10の10種類)とMoCAを測定し、パターン4の成就がMCIと関連していることを確認した。課題2(平成26年度)では、三重県津市B町の高齢者91名を対象に同様の測定を実施した(女性比81%、平均年齢71±6歳、教育年数11±2年)。MCIとみなされた対象者(MCI者)は53名、みなされなかった対象者(非MCI者)は38名であった。このうち、MCI者でのパターン4の成功率は79%であった。同様に非MCI者で成就したのは84%であった。1年目における結果からはそれぞれ86%、97%であったことから、今年度の検討によって、1年目で得られた結果の交差妥当性を確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
事故無く、無事に測定することができた。予定通り、1年目と異なる対象者を対象にすることができ、解析することもできた。
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今後の研究の推進方策 |
2つの課題を経て、スクエアステップのパターンでMCIを検出できる可能性を示唆する結果を得ることができた。ただし検出の精度は十分でないと考えており、これまでのデータを十分に解析していくことを予定している。 一方、アウトリーチについては検討を進めていく予定である。スクエアステップを地域に普及する活動を実施していくプロセスを評価していく。たとえば、ある自治体が10地区で構成されている場合、いくつの地区がスクエアステップの普及に賛同し、実施してくれたか[採用]。自治体はその地区の普及活動に対して、どのように支援したか(たとえばボランティアの養成、必要物品の提供、広報での周知)[実施]。その結果として、ターゲットとなる高齢者の何%がスクエアステップのことを知るようになったか、あるいは、実践するようになったか[到達]。スクエアステップを実施することで得られた効果はどの程度か[効果]。数年後も継続して取り組んでいる地区数はどの程度か、あるいは、継続しているターゲットはどの程度か[継続]。このような観点で測定し、プロセスを評価していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた対象者数を、予定より短い日数で測定することができ、人件費の支出を抑えることができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度の使用予定額のうち、人件費・謝金・旅費に充てる予定である。
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