研究課題/領域番号 |
25350886
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
高山 房子 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (10236367)
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研究分担者 |
岡田 茂 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 名誉教授 (20033201)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 脂質異常症 / NASH / 酸化ストレス / 慢性炎症 / 鉄過剰 / ミトコンドリア / ポリアミン / エピジェネティクス |
研究概要 |
I.グアニンの8位ニトロ化定量ELISA法: 8-ブロモグアノシンから8-ニトログアノシン(8-NO2G)を合成し、次に、8-NO2Gのリボース部分とウシ血清アルブミン (BSA)結合させた8-NO2G_BSA体 [市販の抗ニトログアノシン抗体で認識する構造] を合成した。正常対照および病態進展におけるニトロ化変性の定量評価のために、高感度化の条件最適化を図っている。 II. NASH病態モデル【特許第5109134】の病態進行に対するポリアミン経口投与による効果の検討と作用機序の追究評価:平成25年度は、メタボ関連生活習慣病に対する創薬シーズとして着目しているポリアミンについて、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH) 進行リスク低減機能の評価動物実験を実施した。被験群として8群、対照群[齧歯類用飼料MF給餌]、脂肪肝群[コリン欠乏高脂肪(CDHF)給餌]、NASH群[4週間CDHF給餌による脂肪肝形成後6週間の間歇的低酸素負荷]、NASH+スペルミン経口投与[25, 75mg/kg/日]群、NASH+スペルミジン[18, 50mg/kg/日]群、NASH+スピルリナ群[6g/kg/日]群とNASH+ピオグリタゾン[5mg/kg/日]群、NASH+スピルリナ群[6g/kg/日]を設けた。NASH進行リスク低減効果は、スピルリナ>ピオグリタゾン>スペルミジン>スペルミンの順であった。 NASH進行リスク低減機効果の実証により、作用機序の解明に進めている。NASH病態モデルは、脂肪過剰蓄積状態への間欠的低酸素負荷誘発の肝炎・肝硬変モデルであり、ミトコンドリアでのエネルギー代謝障害、酸化ストレス亢進や慢性炎症が相互に関連し病態を増悪化修飾させていくことを明らかにしており、被験剤は酸化ストレス-慢性炎症のクロストークを遮断投与していた。また、NASHにおける脂質合成酵素と解糖系酵素などの蛋白発現の亢進を実証し、栄養エネルギー代謝の変調と異所性脂肪の沈着との関連を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題の目的は、A 過剰栄養性肝代謝異常-相対的酸欠-脂肪貯留-酸化ストレス-炎症-組織リモデリング- メタボリックシンドローム関連疾患 (MS) 進行における、抗MSの新たな治療標的として、栄養性肝代謝異常・炎症をもたらすEG変調の分子基盤を、酸化ストレス、ニトロ化ストレス、ヘム(鉄)、核ヒストン修飾に着目し解明する。B 抗MSに有望な化合物として選定したポリアミンについて、NASH病態でのEG変調による栄養代謝・生理機能の破綻に対する制御性を詳らかにし、生活習慣病の予防、治療への利用の可能性を学術的に解明し、ポリアミンの創薬シーズ発展性を裏付ける応用研究を発展させる。 の以上である。 このため、H25年度においてa,bを研究計画とした a.メタボ関連生活習慣病進展の共通基盤として受入れられつつある酸化ストレス-慢性炎症のクロストークにおけるニトロ化変性の関与を調べるためのELISAアッセイの構築 b.メタボ関連生活習慣病に対する創薬シーズとして着目しているポリアミンについて、肝臓における生活習慣病の発現型とも例えられる非アルコール性脂肪性肝炎(NASH) の進行リスク低減効果の有無の確認と脂質代謝への制御性も明らかにしてその作用機序の解明に進める。 についての、実施・進展の状況は、「おおむね順調に進展している」に相当すると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で用いるNASH病態モデル=栄養性肝代謝異常としての生活習慣病【特許第5109134】は、臨床症例リスクの負荷で、MSの増悪化が惹起・加速することを再現する。 偏倚栄養によるエピジェネティク変調と、ミトコンドリアエネルギー代謝異常、慢性炎症や異所性脂肪の沈着との関係の全貌を解明できるNASH 病態モデルを作出できる我々の強みをフルに活かして、今後、過剰栄養エネルギー代謝-相対的酸欠 [‘酸素で燃やして’エネルギーを作る栄養物質は多量に流入] -酸化ストレス亢進-炎症駆動転写因子NFκB の活性化-慢性炎症・組織の異常増殖を巡るメビウスの輪の全貌をエピジェネティク変調の是正を意図して解明する。 具体的には、NASHで実証した脂質合成酵素および解糖系酵素の蛋白発現亢進に対する被験剤投与による影響について検討を進め、抗メタボリックシンドローム機能が見込めるポリアミンについて、 ミトコンドリアエネルギー代謝を賦活させるLSD1の阻害によるエピジェネティク制御を始め、肝臓の栄養エネルギー代謝機能や炎症遷延の改善機能を評価・解析する。得られる知見は、肥満症から生活習慣病への重症化の予防・治療、インスリン抵抗性の改善などに幅広く使用できる機能性素材の探求とその評価系確立の基盤研究の達成に資することを確信している。
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次年度の研究費の使用計画 |
本課題では、過栄養による代謝破綻に対するポリアミンの効果を予測しての研究課題である。課題実施には、ポリアミン類のスペルミンおよびスペルミジンが必要であり、さらに、SREBP等の脂質合成酵素蛋白の発現変動を検討するWesternBlot解析実験が必要であり,実験計画にも記述していた。しかしながら、実験に必要なポリアミン類および抗体試薬の予算計上が漏れていたため、H25年度にも実施のクールスターラー・SWC-900 半月形(2枚割)カバー付 [日伸理化](265,000円)の購入を控え、試薬の購入に充てた。なお、低温実験は岡山大学の共同実験施設の低温室を利用し実施している。その差額として、16,722円が生じているが余剰ではない。 16,722円についても、予算計上が漏れていたため不足しているWesternBlot解析実験の消耗品および低温実験の際に利用する岡山大学の共同実験施設の低温室の利用料に使用する予定である。
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