研究課題/領域番号 |
25350894
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
有田 幹雄 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 教授 (40168018)
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研究分担者 |
内海 みよ子 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 教授 (00232877)
宮井 信行 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 教授 (40295811)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 早期動脈硬化 / 内臓脂肪 / 家庭血圧 / 起立負荷 / 血圧変動 |
研究実績の概要 |
和歌山県の3つの町で特定健診時に、動脈硬化健診を行った。参加者はみなべ町550名、かつらぎ町657名、上富田町333名であった。動脈硬化健診の内容は、循環機能検査(心電図、PWV,ABI、頸部エコー、運動負荷(65歳以上))(HOMA-R)尿検査(尿中アルブミン、尿中塩分量)、内臓脂肪測定などであった。希望者に対し血圧計の貸出しを行い、家庭血圧測定を約1~3ヶ月間実施し、特定健診時の血圧と比較した。みなべ町では213名の家庭血圧を測定した。家庭血圧と健診時血圧を比較した時、正常血圧24%、正常高値15%、白衣高血圧5%、仮面高血圧24%、高血圧22%であった。baPWVは仮面高血圧、高血圧群で正常、白衣高血圧群に比べ有意に高値であった。BMIが25未満 かつ 内臓脂肪100平方㎝以上を「隠れ肥満」とすると、みなべ町は14.8%、かつらぎ町19.8%、上富田町23.2%と差がみられ、内臓脂肪測定の必要性が示唆された。 また簡便な起立負荷検査を351名(平均年齢60.4±8.7歳)の高血圧患者で行った。血圧、心拍数、R-R間隔変動係数(CVRR)、交感神経指標(LF/HF)、副交感神経指標(CCVHF)を記録した。起立性低血圧群(OH: ΔSBP≦-20mmHg)と起立性高血圧群(OHT: ΔSBP≧10mmHg)を評価した。OH群30名、OHT群38名であった。OHT群は、OH群と比較し、baPWV、安静時SBP、 α functionが有意に高かった。OHT群において、⊿SBP、SBP、SBP2、baPWV、立位時のLF/HF、立位時のCVRRがOHT群ではない群において有意に高かった。baPWVに影響する因子の重回帰分析の結果、基準時のSBP、年齢、BMIが有意な変数として採択された。血行動態における動脈硬化と自律神経機能の増加は、簡便な起立負荷検査によるOHT群と関連していることが示された。以上より、起立負荷時の血圧変動が早期動脈硬化危険因子と関連していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
かつらぎ町、みなべ町、上富田町の住民健診時の動脈硬化健診時のデータから、BMIが25未満 かつ 内臓脂肪100平方㎝以上を「隠れ肥満」とすると、3つの町でその頻度に差が認められ、健康度に差があることが示された。家庭血圧測定により、仮面高血圧が36%みられ、その血管スチィフネスが高いことが示された。起立負荷試験時に血圧が上昇する群では、血管スチィフネスが高値であることが示された。以上より、早期動脈硬化指標の評価を行いその成果もでているので、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、かつらぎ町、みなべ町、上富田町で健診を実施し、循環器疾患発症と早期動脈硬化危険因子との関連を明らかにしていく。 健診受診者を対象にして、希望者をつのり、運動群、減塩群、コントロール群の3群に分類し、介入試験を行い、ライフスタイルの改善による効果を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
検診や研究に必要な物品や装置を予算に計上していたが、想定していた金額より 低価格で購入できたため、金額に差が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の検査項目・検診受診者数の増加が見込まれるため、物品の追加購入や人員確保に 使用する計画である。
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