研究課題
安静臥床や関節固定等によって活動量が著しく減少すると、骨格筋の萎縮や筋力低下が生じることが知られている。我々は、下肢の関節固定および非荷重によって生じる筋萎縮や筋力低下を局所の血流制限を繰り返すことで抑制できることを実証した。そこで我々は、このような抑制効果の分子メカニズムを解明するために、ヒトおよびマウスでの廃用性筋萎縮モデル実験を立案し実施している。現在までの結果として、ヒトを対象とした実験においては、膝関節伸展筋群や足関節底屈筋群に比べ、膝関節屈曲筋群で高い筋萎縮の抑制効果がみられている。さらに、膝関節伸展筋群の各筋で変化をみたところ、骨格筋サンプルを採取した外側広筋では、実験期間中に特に何も行わなかったコントロール群は実験前が19.6±2.4cm2であったのに対し、実験後が16.9±1.4cm2であり、低下率は-13.4%であった。それに対し血流制限群は、実験前が17.5±1.9cm2で、実験後が16.3±1.6cm2であり、低下率は-6.6%であった。このように骨格筋サンプルを採取した外側広筋だけみると、血流制限による筋萎縮抑制の効果が示された。また、この骨格筋サンプル採取については、すでに10名分(コントロール群5名、血流制限群5名)のサンプル採取を終了している。一方で、マウスを対象に片側下肢のギプス固定による廃用性萎縮モデルの実験も進められている。固定から1時間、3時間後、24時間後、7日後と14日後の骨格筋サンプルがすでに採取されている。現在、この骨格筋サンプルをもとに解析が進められており、そこで得られた結果をもとにヒトの骨格筋サンプルによる解析を進める予定である。
2: おおむね順調に進展している
現在はマウスを対象とした廃用性筋萎縮モデルにおける骨格筋サンプルの解析が進められている。その解析が終了次第、ヒトの骨格筋サンプルによる解析が始められる準備は整っているので、本研究はおおむね順調に進展していると考える。
マウスを対象とした廃用性筋萎縮モデルの結果をもとに、ヒトの骨格筋サンプルの解析を進める。それにより、血流制限による筋萎縮の抑制効果の分子メカニズムを解明する。また、その結果から筋力低下の抑制効果のメカニズムについても考察する。そのために必要な最新の情報等を国内外の学会に参加することで収集する。必要に応じてサンプル数を増やすことになるので、その際には被験者協力に対する謝金や追加の検査費用が必要となる。
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