研究分担者 |
岩本 禎彦 自治医科大学, 医学部, 教授 (10232711)
蒲池 桂子 女子栄養大学, 付置研究所, 教授 (20365810)
田中 明 女子栄養大学, 栄養学部, 教授 (70171733)
川端 輝江 女子栄養大学, 栄養学部, 教授 (80190932)
中山 一大 自治医科大学, 医学部, 講師 (90433581)
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研究実績の概要 |
目的:健康維持に不可欠なエイコサペンタエン酸(EPA),ドコサヘキサエン酸(DHA)の給源である魚の摂取量は平成26年には69.4gに減少して懸念される。本研究の発端はΔ5脂肪酸不飽和化酵素の遺伝子多型rs174547のC型アレルが植物のαリノレン酸(ALA)からEPA,DHAを合成する能力がTT型に比して低く、日本人の60%(CT型46%、CC型14%)に見られる事を発見したことである(Hum Genet. 127:685,2010)。そこでベジタリアン(菜食者)の脂肪酸多型と健康状態を研究した。 結果:菜食者143名中、DHA摂取量0gの純菜食者+乳菜食者(52名)の血清と赤血球脂肪酸はTT型に比べてALAはTC/CC型で有意に増加し、血清EPA,DHAは有意に減少し、重要指標のω3指数(赤血球EPA+DHA)は3.2と魚菜食者の6.5の約半量に減少していたが血清、赤血球アラキドン酸(AA)の減少も著明であった(Nutr Food Sci 6:3,2016)。魚菜食ではCC型であってもTT型とほぼ等しいDHA量を維持しており、摂取量の正確な入所者(EPA+DHA約400mg/日)のCC多型でも血清AAは激減するがEPA,DHAは多型の影響を受けないことを確認した(Prost Leuk Ess Fatty Acids 105:8211;14, 2016)。最も重要な純菜食+乳菜食の健康状態は、95%以上が血圧130/80mmHg以下、血清LDLーC140mg/dl以下、BMIが25以下であり国民健康・栄養調査の一般日本人の健康指標より遙かに良く、多型間に有意の差が無かった。 考察:菜食者の高い健康度は内因性のEPA/AA比の増加とDHA保持能増加によって低いDHA摂取量を補償する機構が推定された。CC多型のω3指数を海藻類やステアリドン酸の摂取で補うことを勧める。
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