研究課題
基盤研究(C)
加齢に伴う酸化ストレスの蓄積は、糖尿病などの生活習慣病や、アルツハイマー病、パーキンソン病に代表される神経変性疾患など、様々な疾患の発症に強く関与している。従って酸化ストレスの除去は、疾患の予防、治療につながり、効果的で長期摂取による副作用の少ない抗酸化剤が求められている。我々は、脳の酸化ストレスが亢進して、海馬での神経変性、学習記憶力の低下、寿命の短縮が認められる神経変性疾患モデルマウス(DALマウス)を開発し、このDALマウスに水素水を長期投与することで、水素分子が加齢に伴う脳の酸化ストレス除去に有効であり、神経変性や認知機能低下を抑制することを明らかにした。さらに中枢神経以外でも、酸化ストレスが関与する症状の改善に水素分子が有効であることを明らかにした。また、酸化還元状態により励起波長スペクトルが変化する緑色蛍光タンパク質を発現しているroGFPトランスジェニックマウスを作製した。ミトコンドリアでroGFP蛋白を発現する系統(mito-roGFP)と、細胞質で発現する系統(cyto-roGFP)の2種類のTgマウスを作製した。そこで本研究では、DALマウスとroGFPマウスを交配させて、脳の酸化ストレスの蓄積を可視化して定量評価できるマウスを開発し、加齢による酸化ストレスの蓄積と、水素分子による酸化ストレスの除去を時空間的に評価することを目的とする。さらに急性ストレス負荷時の脳の酸化ストレスの発生をモニターし、水素分子の作用点と有効な投与方法を明らかにする。平成25年度は、roGFPTgマウスの発現スクリーニング検査を行い、脳のミトコンドリアと細胞質でroGFPタンパク質を発現しているマウスを選別、系統化し、DALマウスと交配させて、酸化ストレス亢進roGFPマウスを作製した。
2: おおむね順調に進展している
生体内の酸化ストレスを時空間的に定量評価できる酸化ストレス亢進マウス(DAL-roGFPマウス)の作製が完了した。脳のroGFPの蛍光波長の解析から、酸化還元状態をモニターする系を構築中である。
DAL-roGFPマウスを維持繁殖させ、実験に用いるマウスを安定供給するとともに、脳の酸化還元状態をモニターする。加齢による酸化還元状態の変化、急性ストレスによる酸化還元状態の変化をモニターするとともに、水素分子を投与してその効果を可視化して評価する。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)
Journal of investigative dermatology
巻: Oct 15 ページ: 1-9
10.1038/jid.2013.428.
http://home.nms.ac.jp/ig/saiboseibutsu/kenkyu.html