研究課題
酸化ストレスの蓄積は、糖尿病などの生活習慣病や、アルツハイマー病、パーキンソン病に代表される神経変性疾患など、様々な疾患の発症に強く関与している。我々はこれまでに、脳の酸化ストレス亢進に起因する神経変性疾患モデルマウス(DALマウス)と、生体の酸化還元状態をモニターできるroGFPトランスジェニックマウスを作製した。roGFPタンパク質は酸化還元状態により励起波長スペクトルが変化する緑色蛍光タンパク質である。ミトコンドリアでroGFP蛋白を発現するmito-roGFPと、細胞質で発現するcyto-roGFPの2種類の系統があり、ミトコンドリアのレッドクス状態と細胞質のレッドクス状態を別々にモニターすることが可能である。本研究では、平成25年度、DALマウスとmito-roGFPマウス、cyto-roGFPマウスを交配させて、脳の酸化ストレスの蓄積を可視化して定量評価できる二種類の酸化ストレス亢進roGFP/DALマウスを作製した。平成26年度1)mito-roGFP/DALマウスとcyto-roGFP/DALマウスを用いて、セボフレン麻酔下にて大脳皮質のroGFPの蛍光イメージングを試みた。頭蓋骨にはroGFPタンパク質の発現はなく、頭皮を切開して頭蓋骨ごしでの蛍光モニターが可能であることを確認した。そこで加齢による酸化ストレスの蓄積と脳のレッドクス動態を可視化するべく、3ヶ月齢、6ヶ月の大脳皮質表面のroGFP蛍光を測定した。2)急性ストレスによる脳のレドックス動態をモニターするために、拘束ストレスの期間、方法を検討した。
3: やや遅れている
動物飼育室の使用可能capacityに限界があり、作製したマウスの維持(加齢による変化をモニターしたいので、長期間にわたっての飼育が必要になる)と、ストレス実験に使用するマウスの作製が計画通りに進めない現状がある。
1)12ヶ月齢、18ヶ月齢のmito-roGFPマウス、cyto-roGFPマウスでroGFPの蛍光をモニターし、加齢による脳の酸化還元状態の変化をミトコンドリア、細胞質に分けて解析する。2)mito-roGFPマウス、cyto-roGFPマウスに拘束ストレスを与え、急性ストレスによる酸化還元状態の変化をモニターする。拘束ストレス中に水素分子(水素水、水素ガス)を投与し、その効果を可視化して評価する。
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http://home.nms.ac.jp/ig/saiboseibutsu/index.html