研究課題
平成27年度は、①心筋梗塞前後運動状況、生活因子の情報の収集と入力作業、②運動の健康予後、生命予後の及ぼす影響の統計的検討、③研究成果の総括ならびに学会での成果の公表を実施した。昨年度までに約3900例のデータの入力を終了していたが、本年度の解析までに心筋梗塞発症後5年予後を追跡しえた症例5170例データの入力・検証を終えた。退院後の定期的運動習慣は1180例(22.3%)にあり、5年間の累積死亡率は3.47%と非定期的運動群(3990例)7.94%に比し少ないが(log-rank p<0.001)、多変量解析の結果adjusted HR 0.66(95%CI 0.38-1.07, p=0.088) と有意差はなかった。運動強度別に4群に分けると運動強度の最も低い群で(median 4.5Mets, n=1911)で累積死亡率が10.9%と他の群Q2(5.5Mets, n=681)の4.7%、Q3(6.5Mets, n=1261)の3.1%, Q4(7.5 Mets, n=1365)の2.7%より有意に高かった(Logrank p<0.001)。心筋梗塞発症前後の運動習慣の変化を検討すると、退院後に運動を中止した群で予後が最も悪い傾向(9.9%)にあった。発症前に運動習慣がなく発症後に運動を開始した群では3.1%と低率であった。退院後の運動習慣消失と関わる因子は、NYHA2以上HR0.36(95%CI 0.23-0.55, p=0.00)、運動を新たに開始する因子は、男性 2.94 β遮断薬1.33 スタチン1.59であった。運動習慣がある場合の心臓死36人中10人は0.85%と非心臓死1.86%より低値であったが、運動習慣がない場合は心臓死2.16%、非心臓死2.76%と心臓死の割合が高値であった。本研究成果は米国心臓学会(平成28年3月)にて公表した。
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