研究実績の概要 |
本研究では今まで十分に検討されていなかった新しい高齢者の歩行能力評価として,「身体運動に関する環境情報への選択適応能力」について着目した.昨年度までの研究で,隙間を通過する能力と障害物を跨ぐ能力は,独立した選択適応能力であるという結果を得た.また,高齢者における選択適応能力の低下は,移動能力の低下を要因とする可能性が示された.そこで,本年度は要介護認定を受けている高齢者を対象に加え,移動能力と選択適応能力の関係について検討した. 65歳以上の健常高齢女性33名,要介護認定を受けている高齢女性13名,若年女性40名を対象として実験を実施した. 要介護認定を受けている高齢女性では健常高齢女性と比較し,より選択適応能力の低下が認められた.また,要介護認定者は,予測値と実測値の差が大きい結果となった.この結果は,移動能力を構成する要素として,選択適応能力が大きな役割を果たしており,転倒の要因となる可能性を示唆している.得られた研究結果について,国際学会等にて発表し,国際誌に投稿予定である.
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