研究実績の概要 |
平成27年度は「肥満者における食行動やグレリン分泌異常の有無、生活習慣介入による効果」について以下の研究を実施した。 1)対象:肥満または肥満歴を有する入院患者18名(Ob群;男6名・女12名(糖尿病))および当院で交代勤務に従事する看護師13名(SW群)を対象とした(年齢:50.6±14.0歳, BMI:31.3±8.0kg/m2)。SW群のうち肥満(SW-Ob群)が4名(年齢:42.8±3.6歳, BMI:30.1±1.9kg/m2 )、非肥満(SW-N群)が9名(年齢: 36.4±8.8歳, BMI:22.5±1.4kg/m2)であった。2)方法:自律神経活動の評価はActiHR4を24時間装着し、心拍周期変動の周波数成分のHF成分(副交感神経活動)とLF成分(交感・副交感神経両者の活動)を抽出し、HF成分を副交感神経活動、LF/HF比を交感神経活動の指標とした。24時間を6時間毎に分け、深夜(0時~6時)と昼(12時~18時)のHF成分、LF/HF比を比較した。3)結果:LF/HF比についてはOb群(深夜2.47±1.07, 昼5.62±2.04)で、深夜に比較して昼が有意に上昇し、SW-Ob群、SW-C群でも深夜に比較して昼において有意な上昇を認めた。一方、HFはOb群(深夜617.6±833.4ms2, 昼411.1±675.4ms2)では健常者でみられる夜間の上昇がみられず、SW-Ob群でも深夜と昼に有意差が認められなかったのに対し、SW-N群(深夜645.9±340.9ms2, 昼213.1±132.0ms2)では深夜が昼に比べ有意な上昇を認めたが、健常者と比較すると深夜のHFが減弱していた。 以上の結果より、肥満およびShift workerと深夜の副交感神経活動に関係性が示唆され、副交感神経活動に影響を与える因子を特定することが肥満の予防や改善に寄与する可能性が考えられた。
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