高脂肪食摂取によって肥満させたddYマウス(雄)に、低炭水化物食を1、2、12、24週間摂取させ、体重、血中インスリン濃度、肝臓トリグリセリド(TG)量、肝臓コレステロール量、肝臓及び白色脂肪組織におけるmRNA発現量について測定し、高脂肪食摂取を続けた場合と比較した。その結果、低炭水化物食摂取により肥満改善効果がみられたのは摂取開始後3週までであり、その後体重は増加に転じ、24週では高脂肪食摂取群と同程度の体重まで増加した。血中インスリン濃度は全期間を通じて高脂肪食摂取群に比べ有意に低い値を示した。一方、肝臓TG量は全期間で高脂肪食摂取群と同程度あるいはそれ以上に増加していた。肝臓コレステロール量は両群の間で差はみられなかった。肝臓mRNA発現について解析を行った結果、高脂肪食摂取による脂肪肝発症で増加することが知られている転写因子PPARgammaの発現量が、高脂肪食摂取群・低炭水化物食摂取群ともに同程度であった。一方、de novo脂肪酸合成を司る転写因子SREBP-1c及びその標的遺伝子の発現は低炭水化物食摂取群において減少がみられた。白色脂肪組織重量変化は体重変化と同様であり、長期摂取により脂肪細胞の肥大化が観察された。白色脂肪組織におけるmRNA発現は、初期には低炭水化物食摂取群において炎症誘導性マクロファージの割合が増加したが、長期摂取により抗炎症性マクロファージの増加がみられた。また、初期においてのみ褐色化が観察された。
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