研究課題/領域番号 |
25350925
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
高塚 尚和 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (40242490)
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研究分担者 |
山内 春夫 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30134919)
舟山 一寿 新潟大学, 医歯学系, 助教 (80568486)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 子ども虐待 / 皮下出血 / 分光測色計 / RGB / デジタルカメラ |
研究実績の概要 |
これまで皮下出血の色調を,分光測色計を用いて検討し,皮下出血の色調の変化をおおむね経時的に捉えることが可能であることが判明したが,(1)分光測色計は,受光部の大きさが直径5ミリメートルであるため,これより大きな出血部位では,皮下出血の性状を全体的に,きちんと捉えているとは言い難く,さらに,測色している部位を目で確認できないため,とくに小さな出血では,出血部をしっかりと捉えているかどうかが不明であることが判明した。このような状況では,分光測色計の改造が必要であるが,開発メーカーの協力を得て,改造するのが困難な状況である。(2)皮下出血の色調を評価するうえで,赤色の評価は極めて重要であるが,温度の影響を強く受けるため,経過日数を推定するための標準化は困難である。(3)子どもは落ち着きがないため,じっとしておらず,特に多数の皮下出血がある際には,それぞれの箇所を一つずつ測色することは不可能である。これらの課題は,非常に大きな問題であり,現在用いている分光測色計では今後,この問題を解決できるとは到底,考えられない状況になった。 それゆえ,今年度の途中から,分光測色計での測色をあきらめ,デジタル写真で皮下出血を撮影して,コンピューターでRGBの三色に分解して,皮下出血の経時的変化を検討した。異なる時期に生じた皮下出血を検討したところ,それぞれのフェーズで,RGBの割合が異なるかたちで評価することが可能となり,皮下出血の診断に応用できる手応えを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の欄で記載したように,当初予定していた分光測色計での計測が暗礁に乗り上げ,これ以外の新たな手法の検討・確立に手こずっていたが,デジタルカメラで撮影した写真を利用しての評価方法が可能になったと思われることから,上記の様に評価した。
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今後の研究の推進方策 |
デジタルカメラで撮影した写真を用いての評価方法の確立を目指すが,とくに下記の事項について検討する。(1)事例ごとに評価基準に違いがないか,並びに民生用デジタルカメラのよる評価法の信頼性の検討,(2)皮下出血の大きさを自動的に算出する手法の検討,(3)RGB別以外での表示により皮下出血を明瞭に表示する方法の検討,(4)汎用性に富んだ解析プログラムの開発,(5)皮下出血の深さを評価する方法の検討 等を実施して,最終報告書を作成したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた分光測色計を用いての評価方法が上手くいかず,皮下出血の性状を客観的に評価する方法を,当該年度の途中まで確立できなかったため,予算の執行に遅れが生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度では,(1)事例ごとに評価基準に違いがないか,並びに民生用デジタルカメラのよる評価法の信頼性の検討,(2)皮下出血の大きさを自動的に算出する手法の検討,(3)RGB別以外での表示により皮下出血を明瞭に表示する方法の検討,(4)汎用性に富んだ解析プログラムの開発,(5)皮下出血の深さを評価する方法の検討 を実施する予定であるが,(5)を実施する際に病理組織学的検査が必要になることから,この研究に使用する計画である。
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