研究課題/領域番号 |
25350926
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
安倍 博 福井大学, 医学部, 教授 (80201896)
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研究分担者 |
上原 佳子 福井大学, 医学部, 准教授 (50297404)
長谷川 智子 福井大学, 医学部, 教授 (60303369)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | タクティールマッサージ / 自閉症スペクトラム障害 / ストレス / 唾液コルチゾール / 唾液分泌型免疫グロブリンA / STAI / POMS / 補完代替療法 |
研究実績の概要 |
タクティールマッサージは、スウェーデンで開発された、手足や背中などを両手で撫でるように触れることを特徴とする技術で、その補完代替療法としての効果は多岐にわたって報告されている。一方、自閉症スペクトラム障害(ASD)児の養育者とくに母親は、児の行動障害への対応や将来への不安などからストレスや抑うつ傾向が高く、QOLが低いことが報告されている。本研究では、ASD児を持つ母親への療育支援の立場から、ASD児を持つ母親へのタクティールマッサージの生理的・心理的効果を明らかにすることを目的とした。 同一被験者に、タクティールマッサージを手に20分間実施する〔タクティール〕条件と、タクティールを行わずに安静座位を保つ〔安静〕条件を行った。生理的指標として、唾液コルチゾール濃度,唾液分泌型免疫グロブリンA濃度 、心拍変動周波数解析(HF、LF/HF)を測定した。心理的指標として、状態-特性不安検査(STAI)、気分プロフィール調査票(POMS)を用いた。測定は〔タクティール〕〔安静〕各実施前後に行い、各実施前後での比較および実施前後の変化率の条件間での比較を行った。 その結果、生理的指標では、〔タクティール〕〔安静〕間でそれぞれの効果に有意な違いは見られなかったが、心理的指標では、〔タクティール〕の方が〔安静〕よりも不安や気分への効果が高かった。以上の結果から、ASD児を持つ母親へのタクティールマッサージにより、生理的なストレス反応軽減効果は安静と大きな違いはなかったが、不安やネガティブな気分を改善させるなどの心理的なストレス緩和効果がより高くなることがわかった。 最終年度では、以上の成果を学会等で発表し、論文作成に取り組んだ。同時に、展開研究として、ASD児を持つ母親にタクティールの手技を教示し、自身の子供に施術することによる効果について検証する研究に着手した。
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