研究実績の概要 |
平成25年8月~平成27年3月に計6回ネパールへ渡航し、首都Kathmanduの都市2校、その近郊の平地農村2校、都市から70km以上離れた丘陵地農村にある2校、計6つの小中学校(10年生の学校)を対象に、歩数測定(7~14日)、24時間心電図(心拍数)記録、形態計測、体力測定、生活習慣調査などを行った。都市部の生徒の身長・体重・皮下脂肪厚は農村部に比べ大きく、都市部、都市近郊農村には6~8%程度の肥満者も認められた。都市部の生徒の1日の歩数は、男子10,206±1,800歩、女子9,243±2,412歩で、都市近郊農村では、男子12,902±2,759歩、女子10,213±3,261歩であった。一方、丘陵地農村の生徒の歩数は、男子の平日は21,162±7,066歩(雨季)、19,679±6,649歩(乾季)、休日は18,545±8,665歩(雨季)、25,076±10,789歩(乾季)、女子が平日14,930±4,668歩(雨季)、17,110±4,377歩(乾季)、休日15,766±6,678歩(雨季)、18,676±9,482歩(乾季)であった。それは、徒歩での通学時間、家畜の放牧や農業などの家事手伝い、屋外遊びに費やす時間が多いことが背景にあった。都市化する以前の子どもは、平均的に男子で1日2万歩前後、女子で1.5万歩以上に相当する身体活動を行っているのではないかと思われる。24時間心拍数のデータは現在分析中であるが、日常生活での最高心拍数は都市、近郊農村および丘陵地農村で大きな差異はなく、平均心拍数は丘陵地農村がやや高いと思われる。丘陵地農村では、学校で体育の授業がなく、スポーツ的活動も見られない。自然に大きく依存する子ども達といえども、激しい運動強度で生活することは極めて少ないと思われる。
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