研究課題/領域番号 |
25350936
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
中谷 奈津子 大阪府立大学, 人間社会学部, 准教授 (00440644)
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研究分担者 |
関川 芳孝 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (10206625)
鶴 宏史 武庫川女子大学, 文学部, 准教授 (80411932)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 保育所 / 生活困難 / 早期発見 / 早期対応 / 組織運営 |
研究概要 |
本研究の目的は、保育所における生活困難の早期発見・早期対応と、保育所内外の組織運営のあり方との関連を明らかにすることである。ここでいう生活困難とは、子どものしつけや育児不安、児童虐待に関することだけでなく、経済的困難、介護、障害、不登校、ひきこもり、夫婦関係、DV など、家庭内で起こり得る様々な困難を指す。それらの生活困難は、家族員のみで解決されることもあるが、必要な福祉やサービス、関係機関に結びつけることができず、問題が深刻化していく可能性もある。生活困難が深刻化する前に、生活困難を早期に発見し、早期に対応していく新たな社会的役割が必要となるが、それに対して日常生活を支える地域の保育所や保育士の役割は大きいものと思われる。 今年度は、以下の3点から研究を行った。第一に、先行研究、先行文献の見直しと概念整理である。特に保育所におけるソーシャルワーク研究の概観から、連携機能や保育所内での組織対応のあり方の明示、子育て以外の生活課題への着眼が課題として浮かび上がった。また理論的枠組みからではなく、保育現場で行われている保護者支援の実際を読み取ることにより、保育所が担う保護者支援の特性と組織的対応の実態を明らかにした。保育所における保護者支援においては、側面的支援機能、早期発見機能が「強み」となり、実際には組織的対応もかなり行われていることがうかがえた。 第二に、生活困難のSOS を出しやすい保育士の関わりを検討するため保護者を対象としたインタビューを実施した。保護者に対する受容的雰囲気、的確な子ども理解、専門機関連携への見通しなどが相談しやすい要因としてうかがえた。 第三に、生活困難に対応する際の、保育所における早期発見の糸口、組織的対応、役割分担の必要性を明らかにするため質問紙調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度当初は、保護者、施設長、保育士を対象に、インタビュー調査を行い、生活困難のSOSを出しやすい保育士のかかわり、SOSとしてとらえられる子どもや家族の変化、組織運営のあり方について明らかにしようと考えた。 先行研究のレビューから、インタビュー調査に向けた論点整理を行い、保護者へのインタビューを実施した。求められる保育士のかかわりについても有益な知見を得ることができた。早期発見のための糸口や組織運営の検討については、施設長や保育士等へのアンケート調査を行うことで把握することが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、昨年度の調査から得られた知見を精緻に整理し、学会での発表、学術論文としての掲載を予定する。そのうえで、保育士、施設長を対象とした大規模な質問紙調査を予定する。保育所における生活困難の早期発見・早期対応の実態把握と、組織運営との関連、他機関との連携との関連について検討していくものとする。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の調査では、詳細な分析・考察までに及ばず、予算に残が生じた。 次年度以降、文献購入や分析に関する物品購入などで予算執行する予定。
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