本研究は,幼児の基本的な動作の習熟度と日常活動における動きの多様性との関係を明らかにすることを主たる目的とした。幼稚園での自由遊び時間中に観察される動作を経時的に記録し,遊び活動に含まれる基礎的な動作の種類,出現頻度を計測した。動作習熟度の高い幼児は低い幼児と比べて活動中に出現する動作の種類が多く多様であり,動作から動作への展開も速いことが明らかになった。また,歩数などの定量的な身体活動量と動きの多様性は必ずしも一致せず,子どもたちが実際にどのような運動や動作を行っているかを認識することの必要性が示唆された。これらの結果は幼児の効果的な運動プログラム作成に生かされるものと考えられる。
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