研究課題
アルツハイマー型認知症の患者様に処方されるアセチルコリンエステラーゼ阻害活性を示す天然物として,リコポジウムアルカロイド類や,最近薬として上市されたガランタミンが知られている.申請者は報告されているアセチルコリンエステラーゼ阻害剤と生物活性と全合成が報告されていないユズリミン類の構造が非常に類似していることに着目した.そこで,非常に複雑な縮環構造を有し,多くの類縁体が存在するユズリミン類を網羅的に合成できる手法を開発し,ユズリミンライブラリーを構築する事を計画した.平成25年度にユズリミン類の全炭素骨格の構築法を確立し,また平成26年度は複素環部分の骨格構築法を確立したが,天然物の20位に対応するメチル基の立体化学は非天然型であることがわかった.そこで,平成27年度は引き続きユズリミン類の全合成を目指し,20位メチル基の立体選択的導入を検討した.昨年度はあらかじめ20位のメチル基に対応するイソプロペニル基を導入し,ヒドロホウ素化によって立体選択的にメチル基を構築する方法を検討していたが,後の段階でメチル基を導入する方法に変更した.すなわち,2位の側鎖部分と4位の第2級ヒドロキシ基の間でラクトンを形成し,このラクトンから生じるエノラートとヨウ化メチルを反応させたところ,立体選択的にエキソ側からメチル化が進行し,目的の立体化学の20位メチル基を導入することができた.現在,この中間体から,昨年度確立した複素環部分の構築法に倣って合成を進めている.これにより,ユズリミン類の複素環部分の構築法が確立できると考えられる.今後,本手法によって得られるユズリミン類のAEF環部に対応する三環性イミニウム化合物を共通中間体として,3種類に分類されるユズリミン類の複素環部分の合成を検討する.
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 備考 (2件)
Chem. Commun.
巻: 51 ページ: 11568-11571
10.1039/C5CC03479E
Org. Biomol. Chem.
巻: 13 ページ: 9969-9976
10.1039/C5OB01488C
Nature Communications
巻: 6 ページ: 8722
10.1038/ncomms9722
Heterocycles
巻: 91 ページ: 1137-1155
10.3987/REV-14-809
http://www.cc.okayama-u.ac.jp/~sakakura/member/hayakawa.html
http://www.tsukuba.ac.jp/wp-content/uploads/151030usui1.pdf