研究概要 |
外部刺激や環境に応じて、結合活性が変化する核酸アプタマーをベースとしたスイッチ分子は、薬物送達システム(DDS)やバイオセンサー、分子デバイスなどへの応用が期待される。これまでの研究で応募者は、キセノ核酸である架橋型ヌクレオチド(BNA/LNA)を含むトロンビン結合性人工核酸アプタマーの創製に成功した。そこで本研究では、得られた人工核酸アプタマーを改変設計することによって、外部刺激や環境による架橋型ヌクレオチドの化学変換をトリガーとするキセノ核酸スイッチ分子の創製を検討した。まず、ヘアピン・ループ(前駆体)の改変設計:天然型ヌクレオチドへの置換を行った。既知の機能ドメインにおいて5'末端から3,6,9,12,15,18番目に位置する6つの架橋型ヌクレオチドを、ひとつずつ天然型ヌクレオチドに置換したプライマーを化学合成した。合成したそれらのプライマーおよび修飾チミジン三リン酸(TmdTP),dGTP,dCTP,dATPを用いたポリメラーゼ反応により、D#6の改変体群を酵素的に合成し、それらの結合活性を非平衡キャピラリー電気泳動(NECEEM)によって測定した。その結果、6位もしくは15位を架橋型から天然型に置換すると著しく結合活性が損なわれることが分かった。架橋型ヌクレオチドは糖のリボース環のパッカリングによる構造的揺らぎを抑えることで二重鎖核酸を著しく安定化することが知られている。故に、6位もしくは15位、もしくはその両方を反応性架橋型ヌクレオチドに置換したモジュールを設計し、活性制御モジュールのライブラリを構築している。
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