外部刺激や環境に応じて、結合活性が変化する核酸アプタマーをベースとしたスイッチ分子は、薬物送達システム(DDS)やバイオセンサー、分子デバイスなどへの応用が期待される。昨年度までの研究で構築し最適化した人工核酸ライブラリや長鎖DNAライブラリ(100 mer)を用いた非平衡キャピラリー電気泳動(NECEEM: Nonequilibrium capillary electrophoresis of equilibrium mixtures)法を用いたキャピラリー電気泳動法セレクション(CE-SELEX)法を基に、本年度は活性モジュールを装備したスイッチアプタマー分子を作製しそれらの特性を検討した。3残基の(E)-5-(2-カルボキシビニル)-2’-デオキシウリジンを含む11種類の改変体をポリメラーゼ反応によりそれぞれ酵素的に合成し、それらの標的トロンビンに対する結合親和性をNECEEM法により検討したところ、標的結合活性を保持しているものについては、解離定数(Kd)は、概ね0.2から5ナノモラーであった。プロト型の配列にはLNAヌクレオシドが、6箇所(3,6,9,12,15および18位)含まれるが、それらを全て天然型ヌクレオシドに置換したものは標的結合活性を示さない。興味深いことに、9位と15位のシトシンを塩基とするLNAヌクレオシドを天然型の2’-デオキシシチジンに置き換えたものは全く結合活性を示さないものの、それら2残基を2’-デオキシ-5-メチルシチジンに置換したものは、4ナノモラーを示すことを新たに見出すことに成功した。これにより、当該スイッチアプタマーによるシトシンのメチル化の検出系の構築可能性が示唆された。
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