本研究で確立したin vivo評価試験法を用いて、門脈血流量を変化させることで血糖値上昇を抑制する成分の機能性を評価した。これまでのスクリーニング研究から見出した、血糖値上昇抑制作用を有する8種類の天然由来粗抽出物と4種類の精製化合物を、麻酔下のマウスに腸管内投与して30分間門脈血流量をモニターすることで血流量に及ぼす変化を調べた。各々顕著な血糖値上昇の抑制を示したが、門脈血流量に顕著な変化をおよぼす素材は見出せなかった。今回見出した血糖値上昇抑制成分の作用メカニズムを検討したところ、血流量変化を介するものではなく、いずれも吸収阻害であることがin vitro試験などを通して明らかとなった。しかし一方でこの血中成分濃度と同時に消化管の血流量をモニターする評価試験方法は、さまざまな消化器系疾患の評価にも利用できると考えられたため、脂質代謝異常モデルマウスや炎症性疾患モデルマウスにおいても本方法を試みた。測定部位の最適化は必要であるが、疾患部位の血流量が測定できることから応用が期待できる。本研究期間内に新たに見出した血糖値上昇抑制作用を示す成分、ならびに炎症性疾患や脂質代謝異常などを改善する成分については、作用メカニズムと化学構造が明らかとなっており、学会発表を済ませた部分については論文投稿を準備中である。
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