研究課題/領域番号 |
25350967
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
石川 裕一 横浜市立大学, 国際総合科学部, 准教授 (40348826)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | タエペエニンD / 天然物 / ヘッジホッグシグナル / 構造活性相関 / シグナル伝達 / ケミカルバイオロジー |
研究概要 |
ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路は、細胞増殖、細胞分化などの重要なプロセスに関わっている。また、その異常な活性化は、がんの発生、増殖、浸潤、転移に深く関与しており、Hhシグナル伝達経路の阻害剤は新たなメカニズムによる新規抗がん剤のリード化合物として期待されている。しかしながら、世界中で活発に研究が行われているものの、現在までに、Hhシグナル伝達経路を標的とした薬剤は実用化されておらず、新規Hhシグナル伝達経路阻害剤の開発が強く望まれている。そこで本研究においては、ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路阻害剤タエペエニンD およびその類縁体の効率的合成法の開発と、その構造活性相関研究から活性発現メカニズムの解明を行うことにより、Hhシグナル伝達経路を標的とした新規抗がん剤リード化合物創製のための研究基盤の確立を目指した。 当該年度においては、本研究の基盤となるヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路阻害剤である天然有機化合物タエペエニンDの合成経路を確立することを目指した。 タエペエニンDの合成にあたり、原料として容易に入手可能なWieland-Miescher ketone(WMK)を採用することで、大量合成に耐えうる合成経路を確立することとし、まず、WMKの合成を行った。得られたWMKより、既知の方法によってタエペエニンDに導くための官能基化を試みたものの、再現性が乏しく、さらなる検討が必要となっている。また、モデル実験による酸素官能基化については、収率の向上が達成できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在までのところ、目的とする天然有機化合物タエペエニンDの合成経路を確立することは達成できていない。これは、原料より導かれる中間体合成の再現性に問題があるためであり、今後の検討によって克服する必要がある。ただし、モデル実験による酸素官能基化については、良好な結果を得ており、これを適用することによって目的の達成が容易になるものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、当初の目的となる、天然有機化合物タエペエニンDの合成経路を確立することを早急に達成し、つづく類縁体合成へと展開することを目指すものとする。課題となる中間体合成の再現性については、反応条件を精査し、モデル実験などを検討することによって克服するものとする。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該助成金については、当該年度の研究計画に遅れが生じているため、研究に必要となる薬品や器具類の購入に必要な支出が繰り越されたためである。 平成26年度については、当初の研究計画(天然物および類縁体の合成)を達成するため、合成に必要となる合成用試薬やガラス器具類の購入(物品費)に当てるものとする。また、最新の研究結果について学会発表するために、国内出張旅費として使用する予定である。
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