研究課題/領域番号 |
25350968
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
西内 由紀子 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00333526)
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研究分担者 |
西内 祐二 株式会社ペプチド研究所(研究部、薬理室), 彩都研究所, 研究員 (30132814)
松本 壮吉 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30244073)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | バイオフィルム / 細胞間情報伝達物質 / 非結核性抗酸菌 / Mycobacterium avium |
研究概要 |
難治性肺感染症を引き起こす環境菌、非結核性抗酸菌 Mycobacterium avium のバイオフィルム形成を指標に細胞間情報伝達物質(ペプチド)を単離同定することを目的として研究を進めた。 まず指標となるバイオフィルム形成が促進される条件を検討した。抗酸菌用の7H9液体培地に形成されるバイオフィルム形成能を炭素および窒素栄養や酸素供給を変化させて、クリスタルバイオレット法および気液界面に形成するバイオフィルムで評価した。その結果、非結核性抗酸菌は大気圧下よりも低酸素条件(5%)下で速くバイオフィルムを形成した。低栄養培地ではバイオフィルム形成は遅かった。また、環境分離株64株のバイオフィルム形成能を比較したところ、低酸素条件下で32株が気液界面を覆うバイオフィルムを形成した。ゲノム解析されている M. avium 104も同様にバイオフィルムを形成した。従って、 M. avium 104と、バイオフィルム形成能の高い環境分離株1株を用いて低酸素条件下におけるバイオフィルム形成を指標として解析を進めることにした。次に、細菌から分泌された細胞間情報伝達物質を得るために、バイオフィルムを形成する条件で大量培養 (500-1000 ml)を行い培養ろ液を集めた。本培養ろ液中には培地成分のタンパクと細胞間情報伝達物質のペプチドが含まれていると推定される。当初、タンパク質を含まない培地で培養した培養ろ液(主に細胞間情報伝達物質のペプチドが含まれていると推定)を用いる予定だったので、小容量でタンパクを含まない培地で培養した培養ろ液を得、イオン交換カラムをとおしたところ、二峰性のピークがみられた。本ピークについて逆相カラムによるLCMS解析を実施予定である。今後大量培養試料の精製をすすめ、本試料と比較しながら同定を進める予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
バイオフィルム形成因子を解析し、至適条件でバイオフィルムを形成させた時の培養ろ液を用いて細胞間情報伝達物質の精製/同定が進行中であるため。
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今後の研究の推進方策 |
現在進行中の細胞間伝達物質の候補ペプチドの一次構造、二次構造、翻訳後修飾を質量分析およびNCBI ゲノムデータベースより推定する。その後、推定した一次構造をもとにペプチドを合成し、バイオフィルム形成活性を測定して細胞間情報伝達物質であるかどうか確認する予定である。細胞間情報伝達物質が確定すれば、前駆ペプチド、またおそらく隣接する2-コンポーネントシステム遺伝子が推定できるので、これらを介したバイオフィルム形成機構を解析する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
フローセルシステム用ポンプの入荷納入が遅れたため、本研究に使用する消耗品の購入を控えたため フローセルシステム用ポンプに使用する消耗品の購入を行う
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