研究課題/領域番号 |
25350970
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
北口 哲也 早稲田大学, 重点領域研究機構, 准教授 (60432374)
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研究分担者 |
新井 敏 早稲田大学, 先端科学・健康医療融合研究機構, 招聘研究員 (70454056)
坪井 貴司 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (80415231)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | GFP / ATP / 可視化 |
研究概要 |
グルコース非依存的ATP動態を可視化するために、まずATPを可視化するプローブの開発を行った。まずGFPの変異体に枯草菌のF0F1-ATP syntaseのεサブユニットを導入した。このサブユニットはATPと結合して、構造変化をすることが知られており、この構造変化を蛍光タンパク質の輝度変化へと変換することを目指す。まず最初にεサブユニットをGFP変異体の発色団の近傍に分子生物学的に導入した。このプロトタイプはATPに応答して20-30%程度の輝度の低下しか見られないため、イメージングへの使用は困難であった。このプロトタイプのダイナミックレンジを改良するために、挿入する場所を少しずつずらす、N末、C末のリンカーの長さを変更する、リンカーのアミノ酸を変更するなどしたところ、ダイナミックレンジの改良や輝度低下型から輝度増加型への転換が見られ、最終的にはATP濃度上昇に応答して5倍ほど輝度が上昇するATPプローブの作製することに成功した。このプローブの吸収スペクトルを測定したところ、400nmと500nmあたりに2つのピークが見られ、ATPを添加すると、400nmのピークが減少、500nmのピークが上昇した。400nmのピークはプロトン化した発色団、500nmのピークは脱プロトン化した発色団であると考えられている。したがって、ATPによりプロトン化した発色団が、脱プロトン化した発色団に変換されることにより、輝度が上昇するのではないかと考えられた。また、このプローブの核酸への特異性を測定したところ、dATP、ADP、GTPに比較して、ATPに特異的に結合し、輝度変化を引き起こすことがわかった。今後、さらにこのプローブの性質を検討し、イメージングへと応用していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ATPを可視化するプローブを開発することを本年度の主目的として研究を行ってきたが、順調にダイナミックレンジを大きくすることに成功した。今後の生理機能の解明に応用していくことができそうである。
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今後の研究の推進方策 |
今後はさらにATPプローブを培養細胞へと適用し、細胞生理機能とエネルギー産生機構の関係性を明らかにしていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究機器として購入を予定していた倒立顕微鏡を共通機器を使うことにより節約し、より高性能のプローブを開発することに使用したため。 次年度使用額を利用して、さらに高性能のプローブを開発することを試みる。
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