研究課題/領域番号 |
25350976
|
研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
千葉 順哉 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 助教 (50436789)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | シアル酸 / 医薬品探索 / アニオン / スルホクリック反応 / アシルスルホンアミド / スルホニルアジド / チオアミド / スルホニルアミジン |
研究実績の概要 |
3年度目となる平成27年度は、昨年度進展させた「蛍光法による阻害活性評価」と「会合力を強めるための展開」で得られた成果を基にして、候補化合物の拡充とともに新薬候補化合物の探索を継続した。また、初年度に発見したチオアミド型の新規反応について詳細に調査し、新薬候補化合物の母骨格にも導入することを検討した。 1)「チオアミド型新規反応に関する調査」研究所年度に開発した新規反応の反応機構について、計算化学(DFT計算)も利用しつつ、実験的に検討した。その結果、反応を促進するいくつかのキーポイントを確認することができた。そこで本課題で利用しているアシルスルホンアミド骨格に加えて、本反応で生成するスルホニルアミジン骨格も新薬候補化合物の母骨格に加えることとし、必要となる誘導体の化学合成を開始した。 2)「阻害定数の算出」昨年度開発した新薬候補化合物について、蛍光法を利用して阻害定数 Ki を評価した。これにより、開発した新薬候補化合物が nM オーダーの強い会合を示すことを明らかにした。 3)「多価性構造への展開」昨年度の候補化合物探索の結果、グアニジノ基を導入した誘導体がノイラミニダーゼと強く会合することが判明した。そこで更なる会合力の向上を目的として、シアル酸骨格が同一分子内に複数存在する構造(多価性構造)へと展開することにした。その結果、予想通り会合力を向上させることができた。 4)「候補化合物の更なる拡充」クリック反応で導入する分子骨格についてさらに検討した。ノイラミニダーゼの活性部位に強く相互作用する部分骨格の調査と計算化学を用いた予想を併用して、より強く相互作用する候補化合物の探索を継続した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り達成することができたため。nM オーダーで強くノイラミニダーゼと相互作用する母骨格が決定し、その骨格を基にした薬剤候補化合物の拡充を進めることができた。また、研究所年度に開発したチオアミド型の新規化学反応についても詳細調査を進行させることができた。そしてこの反応も利用して、新規候補化合物の開発にも取り組むことができた。これらについて、学会報告7件、学術論文1件、著書1件で成果報告することができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は、次の2点について集中的に課題を遂行する。 1)「より強く相互作用する候補化合物の探索」計算化学(In silico)を利用しつつ、阻害能力の高い化合物の探索を継続する。 2)「研究成果のまとめと発表」これまでに得られた成果に関して、特許取得と論文発表を行う。また、関連学会での発表も積極的に行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
開発してきた阻害剤候補の阻害能力に関して、実験的に再現性を確認するとともに、コンピューターシミュレーションを利用して阻害候補分子とタンパク質との相互作用を検証することで、本課題をより精緻に遂行・完了できるため。また、得られた成果を学会や論文にて発表するため。
|
次年度使用額の使用計画 |
主に阻害能力の再現性確認や、さらなる候補化合物の拡充に向けた実験消耗品に使用する。また、学会や論文における成果発表に必要な旅費・雑費を相当分使用する。
|