研究課題
本研究課題は、以下の2点に焦点を絞って研究を実施してきた。(1)ホスファターゼ活性をゲル内で検出するインゲルホスファターゼアッセイ法を確立し、ホスファターゼ研究に応用する。(2)CaMKホスファターゼ(CaMKP)をはじめとして様々なホスファターゼの活性制御メカニズムに関する研究を発展させる。インゲルホスファターゼアッセイ法の確立に関しては昨年度までにほぼ完了しているので、本年度は2番目の課題に取り組み以下の成果を上げることができた。CaMKPは、多機能性CaMキナーゼを特異的に脱リン酸化してCaMキナーゼカスケードを負に制御する酵素である。このCaMKPのN末端領域にはポリリシンなどの人工的なポリカチオンが結合して、CaMKP活性を増大させることが知られていた。しかし、細胞内にこのようなポリカチオンに代わる活性化因子が存在するのか、またその正体は何かについてはこれまで不明であった。今回、大腸菌ツーハイブリッドスクリーニング法を用いて、CaMKPの結合タンパク質のスクリーニングを行ったところ、Pcdh-γC5がCaMKP結合タンパク質であることを見出した。このPcdh-γC5は、GSTプルダウン実験からCaMKPのN末端領域に結合すること、またこのタンパク質の結合によりリン酸化CaMKIの脱リン酸化を促進することを明らかにした。また、細胞内でもCaMKPとPcdh-γC5とCaMKIが3者複合体を形成し、リン酸化CaMKIの脱リン酸化を補助することが示された。これらの研究からPcdh-γC5がCaMKPとその基質であるCaMKを同時に結合することにより、内在性の "positive regulator” として機能する可能性が強く示唆された。
研究室のホームページに最近の研究業績が記載されている。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (11件) 備考 (1件)
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