赤ブドウの果皮などの食品に含まれるレスベラトロール誘導体(RVD)の腫瘍細胞に対する増殖抑制作用の機序を、分子生物学的手法を用いて解析した。その結果、①一般に活性酸素濃度が亢進しているとされるがん細胞ではMIFという炎症性サイトカインの1つであるタンパク質が、転写因子であるNFkB に直接働きかけ、その下流にあるJNKというアポトーシス誘導シグナル因子を抑制する、②MIFはRVDと結合することにより、NFkBを経て、JNKの抑制ができなくなり、細胞にアポトーシスをもたらすことがわかった。したがって、RVDは、MIFを標的としたがん治療薬のリード化合物となる可能性が示唆された。
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