研究課題
ピリミジン塩基を新規に合成するde novoピリミジン生合成経路は、増殖が盛んながん細胞で亢進していることから、薬剤標的として有望である。一方、申請者はこれまで、de novoピリミジン生合成経路を強力かつ選択的に阻害する低分子化合物DI-01を見出してきた。本研究は、DI-01をシード化合物としてde novoピリミジン生合成経路を標的とした新規抗がん剤リードを開発することを目的とする。本年度は主にDI-01の構造最適化を行った。前年度までの薬物動態解析の結果より、DI-01は溶解性が低くかつ代謝的に不安定なため、経口バイオアベイラビリティーが低いことがわかった。そこで、DI-01の溶解性および代謝安定性の向上を目的に100種以上のDI-01誘導体を合成した。構造活性相関解析を行った後、活性を保持していた誘導体について、in vitro溶液沈殿法を用いた溶解性試験およびミクロソーム画分(ヒト、マウス、ラット)を用いたin vitro代謝安定性試験を実施した。その結果、2つの有望化合物を見出した。DI-146は、DI-01と比べ代謝安定性は向上しなかったが、活性および溶解性が向上した。DI-148は、DI-01と比べ活性がやや落ちるものの、溶解性および代謝安定性が顕著に向上した。DI-148をラットに経口あるいは静脈内投与し、血中濃度の経時変化を測定して各種薬物動態パラメータを算出した。その結果、DI-148はDI-01と比べ、経口バイオアベイラビリティーが大幅に向上した(F = 32%)。このように、DI-01の一連の構造最適化により、薬物動態の改善が認められたDI-148を創製することに成功した。
すべて 2016 2015
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