研究実績の概要 |
電位依存性カルシウムチャネル、特に低閾値活性化型は鎮痛を始めとする創薬ターゲットとして期待されている。我々が得ている低閾値活性化型電位依存性カルシウムチャネルの電流を抑制するペプチドをの活性に必要と考えられる部位をランダムライブラリー化し、 新規分子進化工学技術であるPERISS法を用いて、低閾値活性化型電位依存性カルシウムチャネルのサブファミリーであるCav3.1, Cav3.2およびCav3.3を識別するペプチドの創製を試みた。Cav3.1, Cav3.2, Cav3.3の電位センターパドルを用いたヒトKv2.1をベースとしたパドルキメラチャネルの作製を行った。また、同時にキメラチャネルのベースとなるヒトKv2.1チャネルが大腸菌内膜で機能的に発現しているかどうかを大腸菌を用いたパッチクランプ法を開発した。ヒトKv2.1を内膜に強制発現させた大腸菌を抗生物質処理することによりスネーク状にした後、外膜を酵素処理で剥がすことによって直径約5-10マイクロメーターの大腸菌巨大スフェロプラストを安定的に得る技術をである。この方法により大腸菌パッチクランプ法で大腸菌内膜に発現させたヒトKv2.1の電流を測定することができた。しかしこれらは数マイクロメーターのデブリな様々な大きさのスフェロプラストの混合物であり、この中に20%程度しか存在しない目的の大きさの巨大スフェロプラストを効率良く得る方法が必要であった。そこで粒子の大きさでソーティングできるマイクロ流路の一種であるスパイラルソーターを用い、目的とする巨大スフェロプラストを約80%以上の濃度まで濃縮することができた。この大腸菌巨大スフェロプラストを自動パッチクランプ装置に適用することにより安定にパッチクランプによる電流測定が可能となった。更にヒトKv2.1とその阻害ペプチドであるHanatoxinを用いたPERISS法を実施し、キメラのベースとなるヒトKv2.1でPERISS法が機能的に実施可能であることを証明した。
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