今後の研究の推進方策 |
今年度と同様の実験手法を用い、髄鞘形成が未熟であると考えられる生後2・3週齢ラットでの検討を行う。この時期では、オリゴデンドロサイトの分化・成熟の程度もこれまで使用してきたラットとは異なると考えられるので、オリゴデンドロサイト染色の際、オリゴデンドロサイト分化の各段階におけるマーカー(O1, O4, NG2, CNPase, MBPなど)に対する抗体染色も合わせて行う予定である。また、生後4週齢ラットにおいて、海馬采側軸索と海馬台側軸索との間で潜時差や絞輪間距離に違いがあることがわかったので、個体発達の各段階におけるこれらの差異についても検討していく。 神経伝達物質・およびその受容体刺激による軸索伝導修飾効果については、これまでアデノシン関連の検討をおこなってきたが、オリゴデンドロサイトにアデノシン受容体が発現しており、その活性化が今年度観察された変化の機序になっている可能性ある。そのため、オリゴデンドロサイトにおけるアデノシン投与による変化についても調べることとする。他の神経伝達物質としては、予備的実験で伝導速度を遅延させることがわかっているセロトニン系について検討する。また、近年アセチルコリン受容体の関与も報告されているので、コリン系についても検討を加える予定である。 虚血負荷時の活動電位潜時差の分布と絞輪間距離の測定については、最終年度(平成27年度)に行う予定である。
|