研究概要 |
脳の神経回路は、神経細胞(ニューロン)とグリア細胞で構成される。哺乳類の進化の過程において、高次脳機能を有する高等動物ほど脳内のグリア細胞の数が多いといわれる。グリア細胞には、アストロサイト、ミクログリア、オリゴデンドロサイトの3種類があり、グリア細胞の半数はアストロサイトである(Allen & Barres, Nature, 2009)。そのアストロサイトが存在しないと神経回路の架け橋である『シナプス』の数は激減し、伝達物質放出機能は低下する(Pfrieger & Barres, Science, 1997; Ullian et al., Science, 2001; Hama et al., Neuron, 2004)。 しかし、1)どれだけの数のアストロサイトが必要なのか、2)アストロサイトの占有面積とシナプス機能は関連するのか、などは不明である。 本研究の目的は、培養アストロサイトの形成領域の制御に基づいたシナプス動態(情報伝達)とシナプス形態(形成秩序)変化の作動原理を、in vitroレベルで解明することである。 初年度は、アストロサイトの数と面積に着目し、それぞれを実験的に制御できる環境を整えた。結果、ガラス基板上の細胞接着領域はマイクロ単位で制御でき、アストロサイトの接着面積を制御できるようになった。加えて、細胞の撒き数と実際の接着細胞数の相関も定量できたので、ニューロン1つ当たりのアストロサイト数も具体的に制御できるようになった。
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