研究課題/領域番号 |
25350991
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
惣谷 和広 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (80415207)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 二光子励起 / GFP / カルシウムイメージング / 大脳皮質視覚野 / GABAニューロン / 覚醒脳 / 方位選択性 / コリン作動性ニューロン |
研究概要 |
大脳皮質神経回路網の動作制御機構を理解する上で、覚醒脳からの神経活動を細胞レベルで計測し解析することは重要である。そこで今回は、げっ歯類における大脳皮質初期視覚野の興奮性ニューロンとGABAニューロンの視覚応答反応を麻酔時と覚醒時で計測し解析を行った。 その結果、GABAニューロンの視覚応答性が、麻酔時よりも増大し、視覚刺激に応答する信頼度も増強した。それに対し、興奮性ニューロンは、麻酔時と覚醒時で視覚応答性に変化はなかったものの、視覚刺激に対して視覚応答している時間の長さが短縮された。 次にこれらの反応特性の違いに前脳基底部(the Basal Forebrain: BF)からのコリン作動性ニューロンの活動が関わっているのかどうかを検討するため、BFを電気刺激またはチャネルロドプシン刺激を行うことによって、麻酔下で興奮性ニューロンとGABAニューロンの視覚応答に対するBF刺激の効果を解析した。またさらにBF刺激の効果がどのレセプターを介しているのかを調べるため、急性スライスによる薬理学的実験を行った。 その結果、脳の覚醒効果は、BFのコリン作動性ニューロンの活動が、大脳皮質初期視覚野1層ではニコチンレセプターを介して、また、2/3層ではニコチン/ムスカリンレセプターを介して、直接的にGABAニューロンの活動に作用することによって、興奮性ニューロンの視覚応答特性を修飾するという、抑制回路が介在する新しい脳神経回路網動作制御機構の一端が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今回、覚醒動物と麻酔動物の脳から脳活動を計測し、その結果、コリン作動性ニューロンが大脳皮質神経回路網の抑制性ニューロンに作用し、脳の覚醒制御を行っているという新しい知見が得られたため、現在論文投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
今回は覚醒脳の制御におけるコリン作動性ニューロンの神経回路と抑制性神経回路の関係を調べた。今後は他のニューロモジュレーターであるアドレナリン神経回路などの覚醒脳におけるニューロモジュレーター回路の機能を明らかにする。
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