研究課題/領域番号 |
25350993
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
飯高 哲也 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70324366)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | fMRI / 視線計測 / 情動 / 動画 / 瞳孔径 |
研究実績の概要 |
ユーモア感覚はヒトに特徴的な精神機能であり、他の霊長類には認められない心の働きである。そのユーモア感覚の脳内機構を、健常被験者とfMRIを用いて研究している。そのため今年度はコメディ映画を見ている時の脳活動を、11名の健常被験者(男/女:6/5)を対象として計測した。面白さの判定を連続変数として計測できるMRI用の反応デバイスとプログラムを用い、面白さの連続的な変化と脳活動の関連について調べた。fMRIデータはInter-Subject Correlation(ISC)解析という最新の手法を用い、全脳で被験者間の脳活動の相関を調べた。その結果では面白さの評点の時間的変化が、17個の脳領域の相関係数の時間的変化で説明できることが分かった。この中で昨年度の実験結果と同じ領域を調べると、内側前頭前野、基底核、海馬などが含まれていた。本研究結果と昨年度に行った研究結果を合わせて、ユーモア感覚の神経基盤についてのモデルを検討した。本モデルには内側前頭前野、基底核(尾状核と側座核)、海馬が含まれている。内側前頭前野は共感性や心の理論に関連して、他者の行動や心のありかたを推察する機能がある。基底核は報酬系の一部として、ユーモアを快感情として受け取っていることが示唆される。海馬の活動は、面白さの強い場面で記憶成績が向上することと関連しているだろう。この3領域を含むネットワークを、ユーモア感覚の神経基盤のモデルとして提唱した。また視線計測により、瞳孔径と面白さの評価得点に正の相関があることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験結果の主要な部分における解析が終了し、国際学会で発表を行った。前年度の実験結果を支持する結果が、本年度の実験でも得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
コメディ映画を見た前後での安静時fMRIデータを解析し、ユーモアにより脳内ネットワークの機能的変化が生じているかどうかについて検討していく。最終年度でもあり、すべての結果を含めた神経基盤のモデルを構築し、国際的な専門誌に学術論文を投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験補助者への謝金支払いが予定より少なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
英文校正、国際学会での成果発表、雑誌投稿料などに用いる予定である。
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