研究実績の概要 |
本年度は研究成果を英文専門誌へ投稿し、2回の査読を経て最終的に原著論文として受理された。その題名は"Humor Appreciation Involves Parametric and Synchronized Activity in the Medial Prefrontal Cortex and Hippocampus" T. Iidaka, Cerebral Cortex, 2016; 1-13, doi: 10.1093/cercor/bhw325である。実験1の結果として、いくつかの領域がユーモアにかかわる脳領域として抽出された。それらには左海馬、内側前頭前野、右海馬、中後頭回、上後頭回、尾状核、舌状回などが含まれていた。中でも左海馬と内側前頭前野に注目し、領域から信号値を抽出して面白さ評定値との関係を調べた。その結果、ムービー群において面白さ評定が上昇すると脳活動も上昇することが分かった。実験2の結果では、63個の脳領域の中で17個の領域における被験者間相関値の変化が面白さ評定の変化を説明することが分かった。17個の領域には、実験1で有意な結果の得られた内側前頭前野(前頭葉前端部)と左海馬が含まれていた。このように2つの異なった解析手法を用いて、同じ2つの脳領域に有意な結果が認められた。結論としては、左海馬と内側前頭前野の領域がユーモアの受容とその評価に関連すると考えられた。左海馬は文脈や意味内容の変化に伴い、概念の精緻化と再解釈を行っていると考えられた。一方で内側前頭前野は、社会的文脈の処理を行っていることが示唆された。研究成果を国際学会において発表した。
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