マカクサル第一次運動野に局所的な脳損傷を作成し回復の過程で生じる脳活動の変化を調べたところ、損傷後に把握機能が回復した時期には、運動前野腹側部と呼ばれる脳領域に活動の上昇がみられた。さらに脳活動の変化の背景にある脳の構造変化を知るために、神経の可塑的変化に関わる遺伝子の発現に着目した。神経突起の伸長に関わるGAP-43と呼ばれる遺伝子や、その他の神経の構造変化に関わる遺伝子の発現が、回復期の運動前野腹側部で上昇することが明らかになった。これらの遺伝子発現が運動前野腹側部の神経回路の変化を誘導し、機能回復をもたらした可能性がある。
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