1980年代末、台湾の民主化、中国の改革・開放を背景に、海峡両岸で漢民族の族群、客家(ハッカ)の復興運動が始まった。それまで「透明人間」視されていた客家は「解放」された。しかし、台湾では民主化の達成によって客家の政治権利まで保障されるようになったのに対し、中国では客家の復権は文化的、経済的分野に限定されている。たとえば、客家は中国革命に対して多大な貢献を行ったにもかかわらず、中国共産党の公式な歴史はいまだに客家の存在をほとんど無視している。それは「客家タブー」とでも呼ぶべき現象であり、そこには共産党の特殊な政治イデオロギーや、革命の中の粛清といった負の遺産が大きな要因として潜んでいる。
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