• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実績報告書

軍事と外交から見るソ連の帝国建設:カリム・ハキーモフ(1892-1937)の研究

研究課題

研究課題/領域番号 25360002
研究機関北海道大学

研究代表者

長縄 宣博  北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 准教授 (30451389)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード帝国 / 革命 / ソ連 / 中央アジア / 中東 / 軍事史 / 国際関係史 / 国際情報交換
研究実績の概要

最終年度は、論文執筆と史料収集で大きな成果があった。現在、岩波書店から『ロシア革命とソ連の世紀』全5巻の刊行が予定されているが、その第5巻『越境する革命と民族』に収めるべく、「反帝国主義の帝国:イスラーム世界に連なるソヴィエト・ロシア」という論考を執筆した。これは、革命家ハキーモフがオレンブルグ、タシュケント、ブハラ、マシュハド、ジッダと転任する軌跡の背後に、中央アジアのムスリム地域を再征服する内戦と反帝国主義のソヴィエト外交(モスクワを頂点とする非対称な同盟の構築)が継ぎ目なく連続するダイナミズムを読み取るものである。そして、そのダイナミズムを支えたソヴィエト政権の制度や実践が、実は帝政期の遺産に多くを負っていたことを明らかにした。この論文は2017年秋に出版予定である。
本研究の全体像をまとめるこうした作業から浮かび上がってきたのは、ハキーモフの中央アジア時代について研究を深める必要があるということである。とりわけ、帝政期に徴兵対象ではなかった現地民からどのように赤軍が作られたのかという問いは、本研究が今後展開しうる新しい方向性の一つを示している。このような判断から、3月にモスクワの二つの文書館(軍事文書館RGVAと社会政治史文書館RGASI)で調査を行った。2015年に出たAdeeb Khalidの著書Making Uzbekistanは、ソヴィエト政権成立における現地民の知識人の役割を強調するものであり、ボリシェヴィキの仲介者だったタタール人にはほとんど注目していない。今回の文書館調査で明らかになったのは、とりわけ1920-21年のブハラでは、現地民の知識人とタタール人要員との権力闘争が極めて激しかったということである。現在、この成果を論文にまとめる作業に着手しており、2017年11月に北米のスラヴ・ユーラシア学会ASEEESで草稿を発表する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Transimperial Muslims, the Modernizing State, and Local Politics in the Late Imperial Volga-Ural Region2017

    • 著者名/発表者名
      長縄宣博
    • 雑誌名

      Kritika: Explorations in Russian and Eurasian History

      巻: 18 ページ: 印刷中

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] A Conservative Adaptation to Modernity? Abd Allah al-Maadhi Goes to Hajj in 19102016

    • 著者名/発表者名
      長縄宣博
    • 学会等名
      Central Eurasian Studies Society Regional Conference
    • 発表場所
      カザン連邦大学(カザン、ロシア連邦)
    • 年月日
      2016-06-02
    • 国際学会
  • [図書] 越境する革命と民族(ロシア革命とソ連の世紀5)2017

    • 著者名/発表者名
      宇山智彦、半谷史郎、高尾千津子、小野容照、吉村貴之、長縄宣博、地田徹朗、塩川伸明、小森宏美、高倉浩樹、光吉淑江、青木雅浩、平山陽洋
    • 総ページ数
      印刷中
    • 出版者
      岩波書店
  • [図書] テュルクを知る60章2016

    • 著者名/発表者名
      小松久男、赤坂恒明、秋山徹、新井政美、磯貝真澄、稲葉穣、小笠原弘幸、小野亮介、川口琢司、近藤信彰、坂井弘紀、塩谷哲史、島田志津夫、清水宏祐、清水由里子、菅原睦、鈴木宏節、永田雄三、長縄宣博、野田仁ほか8人
    • 総ページ数
      384頁(133-137, 138-142, 277-281頁)
    • 出版者
      明石書店

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi